症状から見た不正咬合の分類

知多市南部からも多くの患者様がご来院をされています、久野歯科医院 院長です。
皆様に役に立つ矯正歯科関連の情報を専門の歯科医が分かりやすくお知らせします。

【記事のリライト日】2023年9月7日(木)12:30

 

様々な不正咬合の形態について

そもそも、不正咬合とはどういった状態か?

顎や顔面、歯などが何らかの原因によって、形態・機能・発育に異常が発生すること。その結果、正常な咬み合わせを営んでいない状態とされています。ここでは不正咬合の特徴的な症状を中心とした、症例についてをそれぞれ解説します。

 

歯の個々の位置異常について

歯列弓や顔の正中、全体の咬み合わせのライン(咬合線)などを目安に、歯の位置の異常を表現します。

■多様な転位について

・近心転位:歯列弓内で正常位から正中へ、より近づいているもの

・遠心転位:歯列弓内で正常位に対し、正中から遠ざかっているもの

・唇側転位:犬歯を含む前歯群で、歯列弓内の正常位置よりも外側にあるもの

・頬側転位:臼歯群で、歯列弓内の正常位置より外側にあるもの

・舌側転位:歯列弓内で正常位から舌側(内側)にあるもの

・低位:咬み合わせのライン(咬合線)に達しないもの

・高位:咬み合わせのライン(咬合線)を超えるもので、一般的には「挺出」を使用します

■捻転

歯が長軸に対して、回転しているもの

■移転歯

歯列弓内で隣り合った歯が位置の順序を交換しているもの

■傾斜

歯の長軸より強く傾斜しているか、又は異常な方向へと傾斜しているもの

 

混合し現れる、個々の歯の位置異常

個々の歯の異常は、単独で現れることもありますが、混合して現れるケースも実は多くあります。
そして八重歯の場合、犬歯の低位唇側転位と呼ばれています。

また、前歯群の唇・舌側転位については叢生(そうせい)と呼ばれています。

上顎中切歯の間に隙間を生じるものには、中切歯の遠心転位で正中離開と呼ぶことが多いです。

上顎両側中切歯の近心に捻転するものは、翼状捻転(ウインギング)と一般的に呼ばれています。

 

歯列弓の形態的異常について

■狭窄歯列弓

臼歯部の舌側転位により起こった、歯列弓の臼歯と臼歯の間の幅が狭いものを言います。
アングル分類の2級2類によく見られ、口蓋部が深いことが多いです。

■V字形歯列弓

狭窄歯列弓に属しますが、前歯の唇側転位と犬歯と犬歯の間の幅が狭く、V字形の形に見えます。

■鞍状歯列弓

下顎歯列弓にみられ、第1大臼歯の近心転位などが原因で、小臼歯の舌側転位・傾斜により歯列弓が鞍のような形に見えます。

 

■空隙歯列弓

歯と顎の大きさの不調和で顎に対し、歯の大きさが小さい時に歯と歯の間に隙間ができます。隙間を多く有する歯列弓のことを呼びます。
歯が小さい場合と、顎が大きい場合、その両方の場合などがあります。

 

上下歯列弓の近遠心的(前後)関係の異常について

アングルの不正咬合の分類で、くわしくご説明したいと思います。

 

【アングルの不正咬合の分類】
アングルの不正咬合の分類は、アングル(Angle.E.H.)が1899年に発表をした分類法となります。
アングルの不正咬合の分類の特徴は「不正咬合の形態的に把握をするのに、かみ合わせを上下顎歯列弓の前後的な相互関係だけに絞り、分類している所」です。

上顎歯列弓は前後的に正しい位置にあるとしているので、不正咬合の分類をわずか3種類に分類できます。

不正咬合の種類をアングル分類では、
■1級(ClassⅠ)上下歯列弓が正常な近遠心的関係にあるもの。

■2級(ClassⅡ)下顎歯列弓が上顎歯列弓に対し、正常より遠心に咬合するもの。

1類(Division1)両側性遠心咬合で上顎前歯が前突しているもの。口呼吸であることが普通です。

2類(Division2)両側性遠心咬合で上顎前歯が後退しているもの。正常な鼻呼吸者。

■3級(ClassⅢ)下顎歯列弓が上顎歯列弓に対し、正常よりも近心に咬合するもの。

と分類することができます。

臼歯関係(モラーリレイション)が1級で正常な場合とは?具体的にいうと、上顎第1大臼歯の近心頬側咬頭の三角隆線が下顎第1大臼歯の頬面溝に接触している状態をいいます。
その状態から前後的に偏った不正な状態を2級または3級と判定します。

アングル分類には多くの欠点、不備があるものの、とても簡単に不正咬合の状態を情報化することができます。
そのため、現在でも不正咬合の診断の情報伝達矯正歯科治療時のコミュニケーションのツールとして多く活用されています。

 

当ブログでもアングルの分類は、皆様に矯正治療前や治療後のかみ合わせ状態、不正咬合について等をお伝えするのに使用しています。

 

上下歯列弓の垂直関係の異常について

■過蓋咬合

前歯の咬み合わせには「垂直成分」と「水平成分」とに分けられ、垂直成分の方を垂直被蓋、水平成分の方を水平被蓋と言います。
前歯の咬み合わせは正常な場合、上顎前歯は「下顎前歯の唇面の4分の1から3分の1を覆う」とされています。

 

この正常な垂直被蓋をはるかに超え、深く咬み合わせるものを過蓋咬合と言います。
症状の強い場合は、下顎前歯を全て覆い隠してしまうものもあります。

水平被蓋の大きさが少ない過蓋咬合(アングルClass2 div2)と多い過蓋咬合(アングルClass2 div1)があります。
過蓋咬合の症状が強い場合、上顎前歯の裏側(口蓋側)の歯肉へ強く接触し、歯肉を傷つけることもあります。

 

■開咬

上下の歯を咬み合わせる時に臼歯部(奥歯)がかみ合っているにもかかわらず、前歯部がかみ合っていない状態を開咬(かいこう)といいます。
一般的には前歯部に開咬は現れますが、臼歯部に現れることも稀にあります。

開咬は「悪習癖に起因しているもの」と「顎自体の形態異常のもの」があります。
成人の開咬では、矯正歯科治療のみで治療することが難しい場合が多く、小児の頃の吸指癖や異常嚥下癖などの悪習癖を早めに取り除くことがとても大切です。

 

上下歯列弓の水平関係の異常について

■交叉咬合

一般的に上顎の歯列弓は、下顎の歯列弓を覆っています。
しかし、部分的に数歯の上顎の歯が下顎の歯に対し、反対にかみ合わせる状態もあります。

臼歯部(奥歯)において、片側にこの状態が現れる場合を交叉咬合と呼んでいます。

 

交叉咬合には「局所的で単純な歯の位置異常によるもの」「上顎と下顎の形態的な非対称によるもの」「歯と歯の早期接触のような咬頭干渉のためにおこる機能的な下顎の偏位によるもの」があります。

乳歯列期・混合歯列期の交叉咬合には、機能的な下顎の偏位が多くみられます。頬杖やうつぶせ寝などの態癖が悪影響を及ぼし、年齢が増し永久歯列の完成時に構造的な異常hw移行する可能性もあるため、十分注意が必要です。

 

ご自身またはお子さんの不正咬合がどういった分類、症例にあたるか?について、一般の患者さんが判断をされるのはなかなか難しいかと思います。
そのため、経験・知識豊富な専門の矯正歯科医が患者さんの歯やお口の状態をしっかりと確認し、どういった症例で、どのような矯正治療を行っていくべきか?を適切に判断することが重要と言えます。

 

——記事の執筆者紹介——
矯正歯科治療でお悩みの患者様の疑問・不安へお応えします!
知多 矯正歯科治療相談室 運営 久野歯科医院院長 久野昌士

【院長の主な略歴について】
・昭和57年:東京歯科大学を卒業。
・昭和57年から昭和61年:東京歯科大学補綴第二講座に在籍する。
・昭和62年から平成1年:愛知学院歯学部口腔外科第二講座研究生。
・名古屋YDCAスタディグループに所属
「コンプリートデンチャー研究会」へ在籍しつつ
名古屋顎矯正研究会等へと参加。
より良い矯正歯科治療を患者様へとご提供できるよう、
 新たな治療技術・歯科知識を積極的に取り入れる。
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