「矯正歯科知識系」 記事一覧

【成人矯正】審美性を考慮したブラケット(ブレース)使用例

開院116年となりました、知多の矯正歯科専門 久野歯科医院 院長の久野昌士です。
皆様へ役に立つ矯正関連の新情報等を分かりやすくお伝えしています。今後の治療を検討されている方、ご興味のある方の参考になれば幸いです。

【記事更新日】2024年1月26日19時

 

審美ブラケットを使用した本格矯正の治療例

前回執筆のお役立ちブログ内にて、お伝えした審美ブラケットの種類について具体的な使用例を提示いたします。
実際の写真と共に、確認をすると分かりやすと思います。是非ご覧ください。

 

1:セラミックブラケットとホワイトコーティングワイヤーを使用した矯正症例

八重歯が主訴の症例で、矯正治療を開始する前に撮影した正面写真となります。

 

こちらは治療中の正面写真です。
ワイヤーの固定に、クリアのモジュールゴムを使用することで、さらに目立たなくなります。
矯正治療中の見た目を気にされる方に適しています。

 

上は矯正歯科治療後の正面写真です。
治療前と見比べると一目瞭然です。綺麗に整っています。

 

2:プラスティックブラケットのクリアブラケットへホワイトコーティングワイヤーを使用

こちらは叢生が主訴の症例の矯正治療前 正面写真です。

 

プラスティックブラケットのクリアブラケットと、ホワイトコーティングワイヤーを使用している治療中の正面写真となります。

 

こちらは治療後の正面写真です。
矯正治療前と後を是非比べていただければと思います。

 

3:クリアブラケットとゴールドメッキワイヤーのクリアスナップを使用した矯正例

主訴が叢生で、歯を抜くことなく矯正治療を行った患者様の治療前 正面写真。
「できれば歯を抜かずに治療したいです」といったお声をよく耳にします。
患者様のお口・歯並びの状態を確認の上、可能であれば抜歯をすることなく矯正治療を行います。

 

クリアブラケットとゴールドメッキワイヤーにクリアスナップを利用。
治療中の正面写真となります。

 

矯正治療後の正面写真です。

 

4:クリアブラケットにホワイトコーティングワイヤー・クリアスナップを使用

上下顎鞍上歯列弓と叢生を主訴としている抜歯が必要な治療前 正面写真です。

 

上下顎の前歯に対して、クリアスナップを使用した治療中の正面写真です。

 

5:当院のクリアブラケットと標準的ワイヤーを使用した矯正歯科治療例

上顎前歯の突出と叢生が主訴の患者様の治療前 正面写真となります。

 

上写真は、矯正治療中の正面写真です。

 

治療後の正面写真となります。ホワイトニングも行い、完了時のお写真です。
歯並びが改善されたと共に歯も白く美しくなっています。

どの治療装置を使用しても、矯正治療の仕上がりに影響はありません。

 

矯正治療後、自信を持って人前でお話をしたり、笑顔になることができるようになりました!
といったお喜びの声を多数いただきます。
そのような患者様からの生の声が矯正歯科医にとって、大きな励みとなります。

これからも歯並びのお悩みの方にご満足をいただける矯正歯科治療に努めてまいります。
お口のことや歯並びのことで、気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。
もしすぐに返信ができない場合にも、必ずメール返信をさせていだきます。

 

——記事の執筆者紹介——
矯正歯科治療でお悩みの患者様の疑問・不安へお応えします!
知多 矯正歯科治療相談室 運営 久野歯科医院 院長 久野昌士

【院長の主な略歴について】
・昭和57年:東京歯科大学を卒業。
・昭和57年から昭和61年:東京歯科大学補綴第二講座に在籍する。
・昭和62年から平成1年:愛知学院歯学部口腔外科第二講座研究生。
・名古屋YDCAスタディグループに所属
「コンプリートデンチャー研究会」へ在籍しつつ
名古屋顎矯正研究会等へと参加。
より良い矯正歯科治療を患者様へとご提供できるよう、
 新たな治療技術・歯科知識を積極的に取り入れる。
————————————————

矯正治療中の痛みの種類と対応策

矯正歯科治療をご検討されている方や治療中の方に役立つ歯科関連の情報をお伝えしている、知多 矯正歯科相談室 院長の久野昌士です。

本日は多くの患者様が気にされる、矯正歯科治療を行う際の痛みとそれに対する対応策についてを詳しく解説いたします。現在治療を行っている際中の方も、これからの治療を考えている方にもとても参考になる内容です。

当院には愛知県知多市南部からも多くの患者様がお越しになっています。「実際に直接治療について、詳しく一度相談したい」といった方はお気軽にご連絡下さい。様々なお悩みや心配について、分かりやすく見解をお話します。

【記事のアップデート日時:2023年11月20日(月)14時】

 

矯正歯科治療中に生ずる痛みについて

患者様が矯正歯科治療を見送られるご理由・デメリットの一つとして、治療中に感じる痛みが大きな要因として挙がるのではないでしょうか?

矯正治療中の痛みには様々な種類があります。歯を移動させるときに起こる痛みブラケット(ブレース)と唇などの軟組織の接触で起こる口内炎による痛みワイヤー後端が頬の奥などの口腔軟組織を傷つけることによる痛み抜歯による痛みなどがあります。

 

ブラケットによる口内炎等の痛み

八重歯(犬歯低位唇側転位)等で歯列弓から外側へ外れた歯へ装置を付けることで、唇などの口腔軟組織を傷つけ、口内炎が発生しやすくなります。

 

こちらへの具体的な対策としては、歯科医院でお渡しする専用のワックスを口内炎の原因となる、突出しているブラケット(ブレース)へ付ける方法があります。この処置により刺激を少なくすることができます。

 

そして、ワイヤーが入りレベリングが進んでくると生体反応もあり、次第に口内炎の痛みは少なくなってきます。ワイヤー後端による軟組織の傷の痛み レべリングが進んできて、叢生等の改善がみられてくると歯列弓が整ってきます 。

 

他、犬歯・前歯の後方移動(リトラクション)が進んできた際、ワイヤー後端が後方のチューブから突出し、奥歯の頬の粘膜を傷つけることが要因で痛みが発生します。

こちらへの効果的な対策は、適正な長さにワイヤーを切断し後端をしっかりと曲げます(シンチバックと呼ぶ) さらにワイヤー後端部をソフトレジンで覆うといった方法もあります。
この2つの対策によって、治療時に感じる痛みを軽減・解消することが可能です。

 

歯を移動させる時に生じる痛み

矯正歯科治療で最も患者様を悩ます痛みがこちらです。

ブラケットを付けワイヤーを装着して暫くすると、その日の内に上下の歯を接触させた際「歯が浮いた」ような持続的痛みが出てきます。

こちらの痛みの程度は個人差がありますが、どうしても避けられない痛みです。この痛みはブラケットとワイヤーをしっかりと結紮したり、ワイヤー交換を行う度、程度の大小はありますが起こります 。

 

痛みのピークは、一般的に数日ほどで1週間前後で徐々におさまります。

また、この歯を移動させる際に起こる痛みは違和感を含め、小児のT4Kトレーナー・マイオブレイスなどの既成の顎機能矯正装置や、インビザライン・アソアライナーに代表されるアライナー矯正(マウスピース矯正)でも発現をします。ですが症状は比較的軽いです。

 

こちらの痛みへの対策もあります。上下の歯を接触させた時の痛みには効果は少な目ですが、一時的な自発痛が強ければ痛み止めの使用も可能で、一定の効果を期待できます 。

一般的な痛みに対して、歯科医院でよく使用される鎮痛剤にはロキソニンボルタレンのような非ステロイド性の抗炎症薬(NSAID)があります。

 

歯の移動は、牽引側と圧迫側にて 破骨細胞と骨芽細胞の働きにより、骨の吸収と添加を繰り返しながら起こります 。

矯正力の加わっている歯には炎症反応が起こっており歯の移動が行われるため、非ステロイド性の抗炎症薬(NSAID)を使用することで炎症を抑えることになり、歯の移動が起こりにくくなります。

そのため、使用する鎮痛剤は抗炎症効果のないアセトアミノフェン(カロナール)を使用すると良いでしょう。

アセトアミノフェンは非ステロイド性の抗炎症薬(NSAID)のように、副作用としての胃腸障害が少なく、妊婦や小児にも使用できる安全な解熱鎮痛剤です。ロキソニンなどの抗炎症薬に比べ、アセトアミノフェンの鎮痛効果はマイルドですが1回に1錠500mgものを2錠飲むことができます。6時間おきならば、4回(4000mg)まで飲むことが可能です 。

 

その他にも別の方法として、氷を口に含んだり、冷やすことで痛みを和らげることもできますが、同様の理由で歯の動きが弱まる可能性があるため注意が必要です 。

 

抜歯による術後の痛み

矯正歯科治療で適正な位置へ歯を移動させるスペース確保のため、抜歯・親知らずの抜歯時に非ステロイド性の抗炎症薬(NSAID)にて対応します。術後の感染が起きないように抗生剤の投与が必要です 。

 

矯正歯科治療時に起こる痛みについて、あらかじめ発現する痛みの原因その対応策を理解した上で上手に痛みと付き合う姿勢が痛みの軽減に役に立つと考えます。

また、治療時の痛みに関して無理をして我慢するのではなく、適宜信頼できる歯科医師に連絡と相談をし、無理なく適切に治療に取り組むことも重要と言えます。

 

——記事の執筆者紹介——
矯正歯科治療でお悩みの患者様の疑問・不安へお応えします!
知多 矯正歯科治療相談室 運営 久野歯科医院 院長 久野昌士

【院長の主な略歴について】
・昭和57年:東京歯科大学を卒業。
・昭和57年から昭和61年:東京歯科大学補綴第二講座に在籍する。
・昭和62年から平成1年:愛知学院歯学部口腔外科第二講座研究生。
・名古屋YDCAスタディグループに所属
「コンプリートデンチャー研究会」へ在籍しつつ
名古屋顎矯正研究会等へと参加。
より良い矯正歯科治療を患者様へとご提供できるよう、
 新たな治療技術・歯科知識を積極的に取り入れる。
————————————————

矯正治療時に行う、歯の移動を解説

皆様へ役立つ矯正歯科の情報を分かりやすくお伝えしている、知多 矯正歯科相談室 院長の久野昌士です。

皆さんは歯の矯正を行う際、どのような点に気を付けて、どういった流れで歯の移動が行われるか?について、詳しく知る機会があまりないかもしれません。ただ、現在矯正治療をされている方やこれからしようと検討している方は、実際に矯正時の歯の移動とはどういったものか?を認知された方が良いと考え、本日は詳しく解説をします。

【記事の更新日時】2023年11月23日12時半

 

矯正治療時の歯の移動について

歯を移動させる力とは?

歯に対し何らかの矯正力を加えると、その力は歯の根の部分から歯周組織の歯根膜を経て、歯の植わっている骨(歯槽骨)へと伝わっていきます。

矯正歯科治療に適した力が歯周組織に伝わると、歯の根の部分(圧迫側)で骨吸収が起こり、圧迫側とその反対側の牽引側で骨の修復がされ、適正な歯の移動が行えます。

 

※「矯正治療時の矯正力が適当である」と思われる歯の状態とは以下とされています。

・矯正力の働いている歯に自覚的な痛みが無い

・歯をたたいても、著しい反応がない

・歯の動揺 及び緩みが著しくない

・歯や顎の位置が処置方針どおりに移動している

・歯根膜や歯の周囲組織に病的変化が認められない

 

 

歯の移動の仕方について

歯の移動の仕方には、普段あまり聞かないフレーズかと思いますが、「歯体移動」と「傾斜移動」というものがあります。

 

歯体移動:歯体移動とは、歯の長軸をできるだけ傾けないように平行に移動させるようにします。

傾斜移動:傾斜移動は、歯の長軸を変えるような移動の仕方をいいます。

 

現在のワイヤーとブレースを使用した一般的且つ主な矯正歯科治療では、歯体移動を主にして傾斜移動も使用し歯を移動させていきます。

アソアライナーに代表されるマウスピース矯正では、傾斜移動が中心になりますので抜歯が必要な矯正歯科治療にはあまり適していないと言えます。

インビザライン等では、歯の表面へアタッチメントと言う突起を付け、歯の動きをコントロールします。抜歯症例にも対応していますが、予想外の歯冠の傾斜などに対するフォローが必要になってくるケースもあります。

 

 

固定(抵抗源)Anchorageとは?

物体がある力で引っ張られた場合、その反作用として必ず同じ力が引っ張る側にも加わります。

矯正歯科治療で歯や顎を移動させる場合も同じです。移動する目的の歯に抵抗する場所がなければなりません。

これを「固定源(抵抗源)」と言い、単に「アンカー」と言うこともあります

 

固定はその固定源となる部位によって、顎内固定・顎間固定・顎外固定に分けられます。

顎内固定:「抵抗源となる歯」と「移動される歯」が同じ顎の中にある場合を指します。

顎間固定:歯や顎を移動させる場合に、抵抗源を対顎に求めた場合を言います。一般的にはエラスティックゴムを使用します。牽引の方向によって、Ⅱ級ゴム・Ⅲ級ゴム・垂直ゴム等があります。

顎外固定:歯や顎を移動させる場合の抵抗源を口腔外に求めた場合を言います。抵抗源は頭部や頸部に求められます。具体的にはヘッドギア、フェイシャルマスク、チンキャップなどを使用します。

 

とても基礎的なことですが、歯を適正な位置に移動させるには作用と反作用の原理を十分考慮の上、矯正治療に役立てなければなりません。矯正歯科治療を進める歯科医師は、この点を意識して行っています。

 

 

——記事の執筆者紹介——
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知多 矯正歯科治療相談室 運営 久野歯科医院 院長 久野昌士

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【小児矯正 知識系】乳歯から永久歯へ交換時の注意点

矯正歯科や小児矯正関連の情報を定期的に解説している、知多 矯正歯科相談室の歯科医師 久野です。

本日はお子様をもたれているお母さま・お父さまなど保護者の方へ是非知っていただきたい「乳歯から永久歯への交換時のトラブルが及ぼす影響」についてを詳しくお伝えします。

【記事の更新日】2023年11月2日(木)19時半

 

乳歯から永久歯への交換時のトラブルは不正咬合へと繋がる

乳歯の早期喪失について

乳歯について、まず下顎乳前歯が生後6ヶ月頃より生え始めて、3歳で乳歯列が完成します。そして6歳で永久歯の第1大臼歯と上下前歯が生えてきます。
12歳までの混合歯列期が終了するまで、お口の健康からお体の健康を維持するためにとても重要な役割りを持っています。

 

その大切な乳歯が何らかの原因(多くは虫歯)で早期に喪失してしまうと、咀嚼機能が大きく低下し全身的 影響を受け、正常な成長発育を阻害することになりかねません。咀嚼機能に重要な、顎の発育にも大きく影響してくるのです。

局所的にも、そして次に生えてくる後継永久歯にも多大な悪影響を及ぼします。生えてくるガイドを失うことによって、本来の萌出位置を見失うことがあり、後継永久歯を傾斜させ、異所萌出の可能性も出てきます。

 

また抜歯後が治癒過程で、骨によって埋まれば埋伏歯となる可能性もでてきます。歯と歯の隣り合った部位に多発した虫歯は歯列の長さを短縮させます。それによって、臼歯の萌出位置をも狂わせかねません。

他にも第2乳臼歯の早期喪失は、第1大臼歯の前方移動や傾斜の危険が危惧されます。さらに乳歯の早期の喪失は対合している歯の挺出も引き起こし、上下的アンバランスを起こします。

 

乳歯の晩期残存について

乳歯は虫歯を代表とする病変に冒されなければ、後継永久歯の発育に伴い、乳歯の歯根は水平的吸収が起きて自然に脱落します。そして永久歯への交換がなされます。

しかし、虫歯や他原因で乳歯の歯髄が冒されてしまうと、乳歯根の吸収が不規則・不安定になり、後継永久歯が生えてくる時期になっても、残っている場合があります。

また後継永久歯が欠如している場合、乳歯は吸収し脱落することなく残存する場合もあります。

 

後継永久歯の位置が大きく違っていると、乳歯は歯根吸収することなく、永久歯は異所萌出をしたり、顎の骨の中に完全に埋まった状態(完全埋伏)になります。これは不正咬合の要因となります。

歯牙腫(オドントーマ)があると、乳歯の歯根吸収が妨げられ、後継の永久歯萌出の妨げになります。

幼少期に遊具からの転落や顔面を強く打ったりする等 外傷の影響で、乳歯は正常な歯髄の役割りが停止して晩期残存し、後継永久歯が異所萌出を起こすといった不正咬合の原因になります。

このようなトラブルのないよう、親御さんは幼少期のトラブルへ充分気を付けなければなりません。

 

永久歯の早期喪失トラブルについて

小児期や青年期にかけて虫歯や外傷によって永久歯を早期に失うと、咀嚼機能を失うだけでなく、早期に失われた歯の空間が時間経過と共に、様々な歯列の乱れ・不正咬合を誘発することになります。

(羽賀通夫著 臼歯の補綴より転載)

 

歯を喪失した隣の歯は、喪失した空間を閉鎖しようと歯冠が傾斜し転位を起こします。喪失以前に噛み合っていた歯は挺出(歯がのびてくる)します。
隣り合っていた歯と歯との接触している部位はゆるみ、食べカスが挟まり全額にわたって咬み合わせの崩壊が起こり、不正咬合の大きな原因となります。

 

特に第1大臼歯は咬み合わせの高さを保持する大切な役割りを担っています(咬合の鍵)。
第1大臼歯の喪失は第2大臼歯の前方傾斜や、第一・第二小臼歯の後方への回転、転位などを引き起こします。そして過蓋咬合や上顎前突の原因になります。

今回ご紹介をしたようなリスクについて、普段気にすることはないかもしれません。
しかし数々の矯正歯科治療を行い、様々な矯正症例を見てきた専門の歯科医師の意見として、今回少しでも認知いただき、お子様の正常な歯の発育/歯並びの形成へと気を付けていただければ幸いです。

 

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矯正歯科治療後の保定器具/リテーナーやマウスガード等のお手入れ

矯正歯科や歯科治療関連の情報を分かりやすく解説している、知多 矯正歯科相談室の歯科医師 久野です。本日は患者様からよくご質問いただくアライナーやマウスガードに関する正しいお手入れについてを述べたいと思います。

【記事の更新日】2023年10月23日(木)13時

 

歯ぎしり・矯正治療時のアライナー・リテーナー・スポーツマウスガードのケア

各種取り外し可能なお口の中の装置

リテーナーは矯正歯科の動的治療が終了し、保定治療を継続する上でとても大切な装置となります。

主に小児に使用される床型矯正装置や、トレーナー・マイオブレイスのような既成の顎機能矯正装置は就寝時に必ず装着しなければなりません。

歯ぎしりの防止装置では、お休みの間のブラキシズムにより起こる力を抑制するために就寝中の装着が必要です。

 

目立たない矯正装置であるクリアアライナーは、一定期間で交換するのでアライナー自体のケアは他装置と比べ必要性が少ないかもしれませんが、リテーナーと同様に食事の時以外の連続的な装着を歯科医師より要求されます。

 

取り外し可能な装置のお手入れ方法は?

アライナーは装着時の見た目的に目立ちませんが長時間の装着となるため、お仕事など他の人との対応時・会話時に気になるかもしれません。

スポーツマウスガードにしても、試合中だけでなく練習中でも体が強く接触する場合には装着が必要です。また、試合中よりも練習時の方が長時間の使用が一般的となっています。

 

こういった長時間使用しなければならない矯正治療後のリテーナーの他、マウスピース型装置について、装着時の臭いが気になったり、着色が起こっていたり、ヌルヌル感が出ていませんか?

リテーナーを長く快適に使用するためには、リテーナーに関する十分なお手入れが必要となります。水洗いだけではぬめりが残ったり、臭いの原因菌が増えたりする可能性が高くなるので注意しなければなりません。

 

 

マウスピース型 矯正装置の専用洗浄剤が発売されています

最近はマウスピース型 矯正装置に関して、患者様の興味・需要が高まり、洗浄剤も多くの種類が発売されるようになってきました。

顆粒を水に溶かして使用するタイプや、タブレット状の物を水に溶かして使用するタイプ、スプレータイプの物などが発売をされています。

ご自宅でケアを行う場合は水に溶かして使用するタイプを使用し、仕事中はスプレータイプといった具合にご自分の状況に合った洗浄剤を使用するのが良いでしょう。

またアライナー・リテーナーと歯の表面の間に食べカスや歯垢が残っていると、むし歯になる可能性が大きく高くなるので注意しましょう。

アライナーやリテーナーのケアと共に、普段されているお口のセルフケアをしっかりと行なうように心掛けることが重要です。
当院では矯正治療中の指導は勿論、保定期間中のリテーナーに関するお手入れ方法、装置使用に関する様々なアドバイスを行っております。お困り事がありましたら、お気軽にご相談下さい。

知識・経験豊富な歯科医師が適切と考えるアドバイスをいたします。

 

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【症例】知多市新舞子のy.k様/アソアライナーの部分矯正で反対咬合を治療

愛知県知多市の矯正歯科治療専門 久野歯科医院の院長 久野昌士です。
今回も皆様に役に立つ歯科治療及び矯正関連の新情報等を分かりやすくお知らせします。

【記事の更新】2023年10月11日(水)20時

 

 

知多市新舞子に在住 Y.K様(女性):部分矯正を希望 反対咬合症例 マウスピース矯正を適用

今回もwebサイトへの掲載に関する了解をいただきました、主に知多地域在住の患者様の矯正歯科治療例についてご報告いたします。どのように実際の矯正治療が進んでいくか?を治療中の写真も複数枚 提示して解説していきます。

 

今回ご紹介する患者様は知多の新舞子在住で、近隣エリアにお住いの女性です。

y.k様は下顎臼歯部の詰め物が外れたことを主訴として、この度当院にご来院されました。

問診表から歯並びについても、相談のご要望がありましたので、主訴の処置が終了した後に詳しくお話を伺うことになりました。
子供の頃、反対咬合の矯正治療を開始したものの、その治療に限界があるとの経緯で、治療を終了されたとのこと。

 

今回、「なるべく目立たない方法で、費用負担が少なくできるのなら矯正歯科治療を受けたい」とのご希望がありました。むし歯は無く、歯周組織も歯肉に強い炎症等みられず、比較的安定をしています。

 

今後の矯正歯科治療に関する処置方針について

「目立たない治療法で費用負担を少なくされたい」といった希望を考慮し、アソアライナーによるマウスピース矯正で上顎 前歯群を前方へ移動させるよう、まず計画を立てました。

 

前歯群を前方へ出すだけでなく、上下の歯を接触させるようにエラスティックゴムも使用することにしています。
上顎左側中切歯には歯列弓より突出があります。

上顎右側中切歯は歯髄処置と根管治療がされており、変色があります。
部分矯正の動的治療が終了した際にホワイトニング・ウオーキングブリーチ・ラミネートべニア等の方法で、歯列全体の色彩にマッチするよう修復予定を検討しました。

部分矯正は、主訴の部位のみ治療をすることから歯冠修復を組み合わせて治療することが多くあります。
今回の場合も臼歯部にできたスペースを閉鎖するために、インダイレクトボンディングとダイレクトボンディングを応用しスペースの封鎖を行います。

 

矯正治療の経過(その1)

アソアライナーには3つの厚さが違うタイプがあります。ソフト(0.5mm)、ミディアム(0.625mm)、ハード(0.75mm)となっており、ソフト・ミディアムではそれぞれ1週間から10日間、ハードタイプでは2週間から20日間を1ステップとしており、歯の動きを確認しながら治療ステップを進めます。

現在は模型や口腔内スキャナーから得られたデジタルデータを基にし、3Dプリンターによって作られた治療模型からアライナーが製作されます。一つのデジタルデータからまとめて3ステップまでの治療を進めることが可能です。

今回も通常通りの流れで矯正治療を進めていきます。

 

矯正治療の経過(その2)

前歯犬歯から犬歯までを含めた前歯群を前方へと移動させます。

両側とも犬歯を含めた前歯群を前方したため、犬歯と小臼歯の間にスペースができています。

 

 

 

矯正治療の経過(その3)

上顎の前歯群と下顎前歯を接触させるため、上顎前歯歯頚部へクリアなボタンを接着。
アソアライナーの舌側前歯部に付けたボタンとでエラスティックゴムを使用します。

 

 

矯正治療の経過(その4)

上顎両側の犬歯と第1小臼歯の間にできたスペースをインダイレクトボンディングとダイレクトボンディングを併用して審美修復を行います。

 

 

歯列全体へホワイトニングを行った後、上顎右側中切歯をレジンラミネートべニアで修復しました。

上顎前歯のみの部分矯正で治療対応しましたので、正中の改善は行われていません。

アソアライナー(各人用に製作されたマウスピース矯正)による部分矯正」から、「ダイレクトボンディングとラミネートべニア、インダイレクトボンディングによる審美修復」といった一連の歯科治療を途切れることなく行いました。

 

一人の歯科医師が包括的に、矯正歯科治療と審美修復の治療を行えるのも当院の強みの一つです。上顎前歯群の前方への移動と前歯の咬み合わせについて、予定よりも多くの時間がかかりましたが、概ね処置方針に従って治療を完了することができました。

 

矯正治療時の注意点をご紹介しますと歯根吸収、歯根破折、歯髄壊死、歯髄変性などの副作用が発生する可能性があります。これらのリスクに注意することも重要なPOINTです。

 

 

≪矯正治療内容の詳細≫
アソアライナーによる動的治療期間:約15か月
治療費用:34万円

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T4Kトレーナー・マイオブレイスの注意点

患者様のお身体に負担の少ない矯正治療に努めています、知多地域の久野歯科医院院長です。

皆様に役立つ歯科・矯正関連の情報を分かりやすくお伝えしています。本日は年々需要が高まっているT4Kトレーナー・マイオブレイスにて、小児矯正をされる際のPOINT/注意点についてを詳しく解説したいと思います。

【記事の更新日時】2023年10月31日12時30分

 

T4Kトレーナー・マイオブレイスで小児矯正をされる子供の保護者様へ

お子様の歯列矯正時は、保護者様のご協力が大切

子供の歯列矯正時に、是非ともお願いしたいことがあります。
矯正歯科治療を成功に導くには、お母様・お父様、保護者の方(ご家庭で一番長くお子様と接している方)のご協力が必要です。

子供と一緒になって、これからの矯正治療へ参加されご興味を持っていただくことが大切と考えます。

 

ご家庭でのお口の機能訓練やお口の体操は、一般的に退屈で早期の効果が分かりにくい点がありますが、それをシッカリと習慣化させ、定着させて継続することが必須です。

まずは治療を受けられるお子様と共にそのお母様・保護者の方も、矯正治療を担当する歯科医師を信じて、その指示へ従っていただければ幸いです。

 

矯正装置を未装着では、その効果は得られません

小児矯正治療の際に使用する取り外し可能な装置は、お口の中を清掃する時に都合が良く、お口の中を清潔に保つことができるのが大きな利点です。
しかし、ご自身の意思での装着となるため、その点に注意しなければなりません。

矯正装置を外していれば、もちろんその効果を得ることはできません。

 

取り外しのできる矯正装置(拡大床など)は、10時間以上 連続的に装着をしないと効果が表れにくいと言われています。

また、正しい使用方法を理解の上、矯正装置を装着しないと治療効果が十分に発揮できません。

 

T4Kトレーナーやマイオブレイスは魔法の道具ではなく、矯正装置です。
そのため、定められた装着時間を守ることを意識しましょう。

 

ご家庭での機能訓練がとても大切

口呼吸に関する体への悪影響についての説明や、あいうべ体操の指導、鼻呼吸、嚥下訓練など機能訓練の説明及び指導等は当院で行いますが、大半の機能訓練の時間はご家庭にあります。

家庭での顎機能矯正装置の使用と機能訓練が非常に重要です。

 

そして矯正治療効果の評価は、診察・レントゲン撮影・定期的な模型の採得と口腔内/顔貌の写真撮影を行い、定期的に判断をしています。

せっかく勇気を出して、矯正歯科治療をはじめても矯正装置が正して使われていなかったり、装着時間が短いようでは思うような矯正効果を得ることはできません。

こちらを踏まえ、もしお子様が矯正装置の装着を嫌がり、あまり装着をしていないようであれば、保護者の方が必要性を度々お話いただき、できるだけご本人のストレスのないよう装着する手助けをしていただければ幸いです。

 

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症状から見た不正咬合の分類

知多市南部からも多くの患者様がご来院をされています、久野歯科医院 院長です。
皆様に役に立つ矯正歯科関連の情報を専門の歯科医が分かりやすくお知らせします。

【記事のリライト日】2023年9月7日(木)12:30

 

様々な不正咬合の形態について

そもそも、不正咬合とはどういった状態か?

顎や顔面、歯などが何らかの原因によって、形態・機能・発育に異常が発生すること。その結果、正常な咬み合わせを営んでいない状態とされています。ここでは不正咬合の特徴的な症状を中心とした、症例についてをそれぞれ解説します。

 

歯の個々の位置異常について

歯列弓や顔の正中、全体の咬み合わせのライン(咬合線)などを目安に、歯の位置の異常を表現します。

■多様な転位について

・近心転位:歯列弓内で正常位から正中へ、より近づいているもの

・遠心転位:歯列弓内で正常位に対し、正中から遠ざかっているもの

・唇側転位:犬歯を含む前歯群で、歯列弓内の正常位置よりも外側にあるもの

・頬側転位:臼歯群で、歯列弓内の正常位置より外側にあるもの

・舌側転位:歯列弓内で正常位から舌側(内側)にあるもの

・低位:咬み合わせのライン(咬合線)に達しないもの

・高位:咬み合わせのライン(咬合線)を超えるもので、一般的には「挺出」を使用します

■捻転

歯が長軸に対して、回転しているもの

■移転歯

歯列弓内で隣り合った歯が位置の順序を交換しているもの

■傾斜

歯の長軸より強く傾斜しているか、又は異常な方向へと傾斜しているもの

 

混合し現れる、個々の歯の位置異常

個々の歯の異常は、単独で現れることもありますが、混合して現れるケースも実は多くあります。
そして八重歯の場合、犬歯の低位唇側転位と呼ばれています。

また、前歯群の唇・舌側転位については叢生(そうせい)と呼ばれています。

上顎中切歯の間に隙間を生じるものには、中切歯の遠心転位で正中離開と呼ぶことが多いです。

上顎両側中切歯の近心に捻転するものは、翼状捻転(ウインギング)と一般的に呼ばれています。

 

歯列弓の形態的異常について

■狭窄歯列弓

臼歯部の舌側転位により起こった、歯列弓の臼歯と臼歯の間の幅が狭いものを言います。
アングル分類の2級2類によく見られ、口蓋部が深いことが多いです。

■V字形歯列弓

狭窄歯列弓に属しますが、前歯の唇側転位と犬歯と犬歯の間の幅が狭く、V字形の形に見えます。

■鞍状歯列弓

下顎歯列弓にみられ、第1大臼歯の近心転位などが原因で、小臼歯の舌側転位・傾斜により歯列弓が鞍のような形に見えます。

 

■空隙歯列弓

歯と顎の大きさの不調和で顎に対し、歯の大きさが小さい時に歯と歯の間に隙間ができます。隙間を多く有する歯列弓のことを呼びます。
歯が小さい場合と、顎が大きい場合、その両方の場合などがあります。

 

上下歯列弓の近遠心的(前後)関係の異常について

アングルの不正咬合の分類で、くわしくご説明したいと思います。

 

【アングルの不正咬合の分類】
アングルの不正咬合の分類は、アングル(Angle.E.H.)が1899年に発表をした分類法となります。
アングルの不正咬合の分類の特徴は「不正咬合の形態的に把握をするのに、かみ合わせを上下顎歯列弓の前後的な相互関係だけに絞り、分類している所」です。

上顎歯列弓は前後的に正しい位置にあるとしているので、不正咬合の分類をわずか3種類に分類できます。

不正咬合の種類をアングル分類では、
■1級(ClassⅠ)上下歯列弓が正常な近遠心的関係にあるもの。

■2級(ClassⅡ)下顎歯列弓が上顎歯列弓に対し、正常より遠心に咬合するもの。

1類(Division1)両側性遠心咬合で上顎前歯が前突しているもの。口呼吸であることが普通です。

2類(Division2)両側性遠心咬合で上顎前歯が後退しているもの。正常な鼻呼吸者。

■3級(ClassⅢ)下顎歯列弓が上顎歯列弓に対し、正常よりも近心に咬合するもの。

と分類することができます。

臼歯関係(モラーリレイション)が1級で正常な場合とは?具体的にいうと、上顎第1大臼歯の近心頬側咬頭の三角隆線が下顎第1大臼歯の頬面溝に接触している状態をいいます。
その状態から前後的に偏った不正な状態を2級または3級と判定します。

アングル分類には多くの欠点、不備があるものの、とても簡単に不正咬合の状態を情報化することができます。
そのため、現在でも不正咬合の診断の情報伝達矯正歯科治療時のコミュニケーションのツールとして多く活用されています。

 

当ブログでもアングルの分類は、皆様に矯正治療前や治療後のかみ合わせ状態、不正咬合について等をお伝えするのに使用しています。

 

上下歯列弓の垂直関係の異常について

■過蓋咬合

前歯の咬み合わせには「垂直成分」と「水平成分」とに分けられ、垂直成分の方を垂直被蓋、水平成分の方を水平被蓋と言います。
前歯の咬み合わせは正常な場合、上顎前歯は「下顎前歯の唇面の4分の1から3分の1を覆う」とされています。

 

この正常な垂直被蓋をはるかに超え、深く咬み合わせるものを過蓋咬合と言います。
症状の強い場合は、下顎前歯を全て覆い隠してしまうものもあります。

水平被蓋の大きさが少ない過蓋咬合(アングルClass2 div2)と多い過蓋咬合(アングルClass2 div1)があります。
過蓋咬合の症状が強い場合、上顎前歯の裏側(口蓋側)の歯肉へ強く接触し、歯肉を傷つけることもあります。

 

■開咬

上下の歯を咬み合わせる時に臼歯部(奥歯)がかみ合っているにもかかわらず、前歯部がかみ合っていない状態を開咬(かいこう)といいます。
一般的には前歯部に開咬は現れますが、臼歯部に現れることも稀にあります。

開咬は「悪習癖に起因しているもの」と「顎自体の形態異常のもの」があります。
成人の開咬では、矯正歯科治療のみで治療することが難しい場合が多く、小児の頃の吸指癖や異常嚥下癖などの悪習癖を早めに取り除くことがとても大切です。

 

上下歯列弓の水平関係の異常について

■交叉咬合

一般的に上顎の歯列弓は、下顎の歯列弓を覆っています。
しかし、部分的に数歯の上顎の歯が下顎の歯に対し、反対にかみ合わせる状態もあります。

臼歯部(奥歯)において、片側にこの状態が現れる場合を交叉咬合と呼んでいます。

 

交叉咬合には「局所的で単純な歯の位置異常によるもの」「上顎と下顎の形態的な非対称によるもの」「歯と歯の早期接触のような咬頭干渉のためにおこる機能的な下顎の偏位によるもの」があります。

乳歯列期・混合歯列期の交叉咬合には、機能的な下顎の偏位が多くみられます。頬杖やうつぶせ寝などの態癖が悪影響を及ぼし、年齢が増し永久歯列の完成時に構造的な異常hw移行する可能性もあるため、十分注意が必要です。

 

ご自身またはお子さんの不正咬合がどういった分類、症例にあたるか?について、一般の患者さんが判断をされるのはなかなか難しいかと思います。
そのため、経験・知識豊富な専門の矯正歯科医が患者さんの歯やお口の状態をしっかりと確認し、どういった症例で、どのような矯正治療を行っていくべきか?を適切に判断することが重要と言えます。

 

——記事の執筆者紹介——
矯正歯科治療でお悩みの患者様の疑問・不安へお応えします!
知多 矯正歯科治療相談室 運営 久野歯科医院院長 久野昌士

【院長の主な略歴について】
・昭和57年:東京歯科大学を卒業。
・昭和57年から昭和61年:東京歯科大学補綴第二講座に在籍する。
・昭和62年から平成1年:愛知学院歯学部口腔外科第二講座研究生。
・名古屋YDCAスタディグループに所属
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矯正歯科治療の目的・目標そしてリスク

”患者様にとって、できるだけ負担の少ない矯正歯科治療”に努めております、知多エリアの頼れる歯科医院 久野歯科医院の院長です。

本日もこれから治療を検討されている方や、歯・お口のことでお悩みの皆様に役立つ歯科情報をわかりやすくお伝えします。今回の記事は矯正治療の具体的な目的と、見落としがちなリスク/マイナス面も掲載いたします。

【更新日】2023年8月21日(月)20:30

 

矯正歯科治療の目的と目標とは?

矯正歯科治療の大きな目的は「咬みあわせを改善することで、不正咬合により起こる数々の障害をできるだけ取り除いたり、解消することにある」と私は思います。

ただ、皆様は不正咬合が原因で具体的にどのようなマイナス面があるのか?あまりピンと来ないかもしれません。ですが、皆様の想像以上にマイナスが存在をします。

 

不正咬合によって起こる障害例をご紹介

具体的な障害とは、どういうものか?

・むし歯の発生の原因となってしまう

・歯周疾患の誘因となりやすい

・口呼吸の原因となる

・発音へ影響を与える

・咀嚼機能・能率に影響する

・顔面の怪我が起こりやすい

・顎、顔面の成長/発育に対し影響を与える

・むし歯、歯周疾患等からの修復や欠損処置を困難にする

・顎関節の障害を引き起こす

・顔面周囲の筋肉へマイナスの影響を与える

・心理的な影響

などが挙げられます。上記をご覧になり、「私もそうかもしれない…」と思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

その症状、実は不正咬合が要因なのかもしれません。

 

 

矯正歯科治療の利益と不利益について

不正咬合が改善されることで、患者様はお口の健康の獲得をはじめとして、多くのベネフィットを得ることができます。ですがその反面、少なからず治療に関するリスクがあることも歯科医師は十分に説明しなければなりません。

患者様にしっかりとご理解をいただいた上で、実際の矯正歯科治療を進めていく必要があります。

 

そして それは、矯正装置の長い装着治療期間のため、お口の中の自浄作用低下とセルフケアが不十分となることで以下のマイナス点があります。

・むし歯の発生や歯周病の悪化

・歯根吸収の可能性

・歯髄への悪影響(歯髄壊死・歯髄変性)

・歯科治療に費やされる時間や高額な費用

等が主なリスクとして実は挙げられます。

 

矯正歯科治療を担当する歯科医は、上記リスクを最小限に抑えて大きな治療効果を得られるよう努め、治療を進めなければならないと思います。

 

 

「矯正治療なんて、やらなければ良かった…」ではなく、「あの時に矯正治療を決心して本当に良かった!」と、心から患者様に思っていただける治療を当院では心がけております。

矯正歯科、歯並びのことでお悩みなら、お気軽にご相談ください。
それぞれの患者様に寄り添った治療をいたします。

 

 

——記事の執筆者紹介——
矯正歯科治療でお悩みの患者様の疑問・不安へお応えします!
知多 矯正歯科治療相談室 運営
久野歯科医院院長 久野昌士

【院長の主な略歴について】
・昭和57年:東京歯科大学を卒業。
・昭和57年から昭和61年:東京歯科大学補綴第二講座に在籍する。
・昭和62年から平成1年:愛知学院歯学部口腔外科第二講座研究生。
・名古屋YDCAスタディグループに所属
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矯正歯科治療に必要な抜歯とは?

歯列矯正での抜歯について

矯正歯科治療時に必要な移動スペースの獲得法の一つ

知多 矯正歯科治療相談室を運営している院長の久野昌士です。
こちらのブログでは「矯正歯科治療に興味はあるけれど治療に踏み出せない…」「どういったリスクがあるのか心配…」「治療は痛いのかな?」といった不安や疑問などにお答えしています。

【記事の更新日】2023年6月9日(金)14:30

今回は矯正治療時に行う場合のある抜歯に関する話題です。

 

歯を適正な位置へと移動させるためのスペース不足を補う方法の一つに抜歯があります。
抜歯部位の殆どが第1小臼歯か第2小臼歯となっています。

上下顎前突の場合には、一般的に上下の第1小臼歯の4歯を抜歯して抜いたスペースを利用します。
そして前歯列を後方へと移動させて、口元の緊張を改善します。
上顎前突では、上顎の第1小臼歯の2歯を抜歯し、臼歯関係を治療する場合もあります。

 

叢生・八重歯の場合には、やはり上下の第1小臼歯の4歯を抜歯し抜いたスペースを利用し、叢生や八重歯の矯正治療を行います。
叢生や八重歯は、歯列不正の程度により抜歯を行なわず治療できる可能性もありますので、しっかりとした治療前の診断が必要となります。

 

もちろん、歯を抜かずに矯正歯科治療ができるに、越したことはありませんが、患者様には矯正治療を受ける際、抜歯することによる利益(ベネフィット)と不利益(リスク)を考え、利益の方が上回れば抜歯しての治療をご検討いただくのが良いかと思います。

 

矯正治療により、口呼吸が改善される大きなメリット

抜歯を行い、矯正歯科治療を行うことで突出していた上下顎の前歯が後方へと移動し、正しい位置に改善されます。これによって口が簡単に閉じられるようになります。口呼吸が防止できる細菌ウイルスなどの病原体は、口から体内へと侵入します。そのため、ある意味で口呼吸は万病の元です。

また口呼吸しなくなることで口腔乾燥状態がなくなり、口臭の発生を減少させる等の予防が可能となります。口元の緊張もなくなり、横顔が美しく改善をされます。

 

■下記にその一例を示します。

上は抜歯治療前の横顔です。口元の緊張と突出がみられます。

 

抜歯治療後の横顔です。美しい横顔になりました。

 

お口の中の疾患の予防

八重歯であれば抜歯を行って矯正歯科治療をする事で、ブラッシングが簡単に効率よく、そして確実に行えるようになります。そして歯と歯の間のプラークコントロールも簡単にできるようになることで、むし歯の発生を抑制でき、歯周病を予防しやすくなります。
プラークの取り残しがなくなれば、口臭の発生も少なくすることができます。

 

歯並びがガタガタであったり、歯列に不正があった場合 大きなリスクがあります。今 現在はむし歯が無かったとしても、今後 歯肉炎程度の歯周病であっても起きた際はむし歯も発生します。
その後にむし歯治療を行い、その結果 大きく歯質を失って歯冠修復をしても、不正な歯の位置は変えることができません。将来、歯周病が進行し歯を失う大きな原因となります。

このようなリスク面を考えると、適正な抜歯を行い、矯正歯科治療を進めることで将来的に歯を失う確率を低くすることができます。

 

抜歯の対象となる歯について

抜歯の対象となる歯は第1小臼歯や第2小臼歯が多いのですが、歯の生えている場所が極端に違っていたり、むし歯により歯の根の治療や大きく修復されている歯がある場合、その歯を抜歯することもあります。

異所萌出や矮小歯、埋伏している過剰歯なども抜歯の対象となります。また正常に歯が萌出していない、埋伏している歯でも治療に必要があり、利用可能であれば開窓という処置を行います。これによって、埋まっている歯をひっぱり出す(牽引)ことも考えます。

親知らずが利用可能あれば、抜歯をせず、利用することも考えられます。

 

上記の患者様では、上顎左側犬歯の異所萌出のため、犬歯を抜歯しました。

 

上のレントゲン写真では歯牙腫のため、下顎左側犬歯の萌出不全となっています。

 

下顎左側犬歯の牽引を牽引して、歯列弓に取り込みます。

 

矯正治療を担当する歯科医師は、抜歯というものを決して安易には考えていないことを是非ともご理解いただければ幸いです。
患者様のお口・歯の状態等を確認の上、その患者様にとって最善と考えられる治療計画の立案及び治療を行うことが重要と考えます。

 

——記事の執筆者紹介——
矯正歯科治療でお悩みの患者様の疑問・不安へお応えします!
知多 矯正歯科治療相談室 運営
久野歯科医院院長 久野昌士

【院長の主な略歴について】
・昭和57年:東京歯科大学を卒業。
・昭和57年から昭和61年:東京歯科大学補綴第二講座に在籍する。
・昭和62年から平成1年:愛知学院歯学部口腔外科第二講座研究生。
・名古屋YDCAスタディグループに所属
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