「矯正歯科治療」 記事一覧

【成人矯正】審美性を考慮したブラケット(ブレース)使用例

開院116年となりました、知多の矯正歯科専門 久野歯科医院 院長の久野昌士です。
皆様へ役に立つ矯正関連の新情報等を分かりやすくお伝えしています。今後の治療を検討されている方、ご興味のある方の参考になれば幸いです。

【記事更新日】2024年1月26日19時

 

審美ブラケットを使用した本格矯正の治療例

前回執筆のお役立ちブログ内にて、お伝えした審美ブラケットの種類について具体的な使用例を提示いたします。
実際の写真と共に、確認をすると分かりやすと思います。是非ご覧ください。

 

1:セラミックブラケットとホワイトコーティングワイヤーを使用した矯正症例

八重歯が主訴の症例で、矯正治療を開始する前に撮影した正面写真となります。

 

こちらは治療中の正面写真です。
ワイヤーの固定に、クリアのモジュールゴムを使用することで、さらに目立たなくなります。
矯正治療中の見た目を気にされる方に適しています。

 

上は矯正歯科治療後の正面写真です。
治療前と見比べると一目瞭然です。綺麗に整っています。

 

2:プラスティックブラケットのクリアブラケットへホワイトコーティングワイヤーを使用

こちらは叢生が主訴の症例の矯正治療前 正面写真です。

 

プラスティックブラケットのクリアブラケットと、ホワイトコーティングワイヤーを使用している治療中の正面写真となります。

 

こちらは治療後の正面写真です。
矯正治療前と後を是非比べていただければと思います。

 

3:クリアブラケットとゴールドメッキワイヤーのクリアスナップを使用した矯正例

主訴が叢生で、歯を抜くことなく矯正治療を行った患者様の治療前 正面写真。
「できれば歯を抜かずに治療したいです」といったお声をよく耳にします。
患者様のお口・歯並びの状態を確認の上、可能であれば抜歯をすることなく矯正治療を行います。

 

クリアブラケットとゴールドメッキワイヤーにクリアスナップを利用。
治療中の正面写真となります。

 

矯正治療後の正面写真です。

 

4:クリアブラケットにホワイトコーティングワイヤー・クリアスナップを使用

上下顎鞍上歯列弓と叢生を主訴としている抜歯が必要な治療前 正面写真です。

 

上下顎の前歯に対して、クリアスナップを使用した治療中の正面写真です。

 

5:当院のクリアブラケットと標準的ワイヤーを使用した矯正歯科治療例

上顎前歯の突出と叢生が主訴の患者様の治療前 正面写真となります。

 

上写真は、矯正治療中の正面写真です。

 

治療後の正面写真となります。ホワイトニングも行い、完了時のお写真です。
歯並びが改善されたと共に歯も白く美しくなっています。

どの治療装置を使用しても、矯正治療の仕上がりに影響はありません。

 

矯正治療後、自信を持って人前でお話をしたり、笑顔になることができるようになりました!
といったお喜びの声を多数いただきます。
そのような患者様からの生の声が矯正歯科医にとって、大きな励みとなります。

これからも歯並びのお悩みの方にご満足をいただける矯正歯科治療に努めてまいります。
お口のことや歯並びのことで、気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。
もしすぐに返信ができない場合にも、必ずメール返信をさせていだきます。

 

——記事の執筆者紹介——
矯正歯科治療でお悩みの患者様の疑問・不安へお応えします!
知多 矯正歯科治療相談室 運営 久野歯科医院 院長 久野昌士

【院長の主な略歴について】
・昭和57年:東京歯科大学を卒業。
・昭和57年から昭和61年:東京歯科大学補綴第二講座に在籍する。
・昭和62年から平成1年:愛知学院歯学部口腔外科第二講座研究生。
・名古屋YDCAスタディグループに所属
「コンプリートデンチャー研究会」へ在籍しつつ
名古屋顎矯正研究会等へと参加。
より良い矯正歯科治療を患者様へとご提供できるよう、
 新たな治療技術・歯科知識を積極的に取り入れる。
————————————————

【小児矯正系】混合歯列期の矯正歯科治療について

知多市南部からも通いやすい、矯正歯科治療専門 久野歯科医院の院長 久野昌士です。

皆様に役に立つ矯正治療関連の情報を分かりやすく掲載/解説をしています。今回は小児矯正として、ご相談をいただくことが多い混合歯列期の矯正に関する具体的な治療内容と注意点についてです。

【記事の更新日】2023年12月26日11時半

 

混合歯列期に行う矯正歯科治療

お母様・お父様、保護者様がお連れする子供の矯正患者様として来院されるのは、混合歯列期が圧倒的に多くなっています。

その理由として、5歳から6歳にかけて下顎乳前歯から下顎永久前歯へと交換した際に現れる不正を主訴とすることが挙げられます。
新たな大人の歯へと生え変わった時、お子様も親御様もやはりその状態・歯並びへ焦点が当たります。

 

混合歯列期の治療対象

この歯の生え変わりの時期に大切なことは以下となります。

まず矯正歯科治療の対象となるのは骨格(Skeletal)、機能(Function)、習癖(Habit)将来萌出してくる永久歯のスペースの確保で、各個の歯(Dental)は最後になります。

こちらの考え方はT4Kトレーナー・マイオブレイスによる矯正治療でも、従来の1期治療でも同じであると考えます。

 

では、より具体的に気になる症例/リスクと注意点等をご紹介します。

 

 

大きな水平被蓋を持つもの

上顎前歯が下顎前歯の位置よりも大きく前方へ突出をしていて、口の周りの筋肉に緊張がある状態。前歯の突出のため、外傷も受けやすくなります。
そして心理的な影響も考えられます。

 

反対咬合について

機能的な反対咬合の矯正歯科治療、前歯の1歯の反対咬合など。
永久歯の交換のためのスペースの確保、獲得。

正中離開 等のために萌出の障害となる場合や、乳臼歯の早期脱落のため永久歯の萌出位置の確保など。

 

不良習癖の除去について

吸指癖、咬唇癖、弄舌癖、異常嚥下癖などの悪習癖はこの時期に取り除く必要があります。
開咬などの大きな原因になる異常嚥下癖は、この時期に適切に改善することができないと除去が困難になります。

 

顎関係の異常時について

顎外固定(装置)を利用し、第1大臼歯 後方への移動を試みる場合もあります。

 

交叉咬合

混合歯列期の交叉咬合は、顎顔面の非対称ではなく、機能的に下顎を偏位させている場合が多くあります。

悪習癖による上顎歯列弓の狭窄等での乳歯の早期接触には、咬合調整や歯列弓の拡大を行います。特に交叉咬合は早期の処置が必要となります。

 

今回ご紹介をした症例以外にも、気になる点がありましたら、専門の矯正歯科医に一度診てもらうのがやはりお勧めです。
知多市の久野歯科医院では随時、お子様の混合歯列期の矯正相談を受け付けています。

症例によっては早めの歯科治療が効果的なケースもあるため、迷われた際はお気軽にご相談ください。
お子様の歯やお口の状態を確認の上、適切な処置や暫くの様子見などの判断をいたします。

 

——記事の執筆者紹介——
矯正歯科治療でお悩みの患者様の疑問・不安へお応えします!
知多 矯正歯科治療相談室 運営 久野歯科医院 院長 久野昌士

【院長の主な略歴について】
・昭和57年:東京歯科大学を卒業。
・昭和57年から昭和61年:東京歯科大学補綴第二講座に在籍する。
・昭和62年から平成1年:愛知学院歯学部口腔外科第二講座研究生。
・名古屋YDCAスタディグループに所属
「コンプリートデンチャー研究会」へ在籍しつつ
名古屋顎矯正研究会等へと参加。
より良い矯正歯科治療を患者様へとご提供できるよう、
 新たな治療技術・歯科知識を積極的に取り入れる。
————————————————

審美性を考慮した目立たないブラケットとは?

痛みの少ない歯科治療に努め、知多市南部からも近距離の矯正歯科専門 久野歯科医院 院長です。
皆様に役に立つ矯正歯科関連の情報を分かりやすくお伝えします。

本日は「矯正治療時に使用するブラケット」に関する話題となります。専門的な視点で解説していきたいと思います。

【記事の更新日時】2023年11月30日(木)18時半

 

矯正歯科で使用するブラケット(ブレース)について

当院で主に使用しているブラケットは、プラスティックブラケットのクリアブラケットです。

セラミックブラケットは患者様からのご相談時に説明し、患者様のご希望がある際に使用しています。
現在はメタルブラケットに関しては、通常使用していません(ご希望があれば使用可)

 

プラスティックブラケットのメリット/デメリット

■主な欠点

プラスティックブラケットは一般的に以下の欠点があります。

・材質が硬くなく、耐久性に欠けるので長期の矯正歯科治療には不向き

・プラスティックのため、長期間の使用によって変色してしまう

・ワイヤーの滑りが悪いため、歯の移動が遅い

などのデメリットが挙げられます。
これを踏まえ、当院で使用するクリアブラケットはスロットが金属でできているため、ワイヤーの滑りの問題を解決することができます。

 

■利点

・ブラケット自体の硬さが適度で、摩耗するため歯を痛めることがない

・メタルブラケットに比べ高価だが、セラミックブラケットよりも安価

・ブラケットを取り除く際の痛みを緩和でき、比較的容易に取り除ける

・矯正治療中にブラケットの付け直しも迅速に可能

 

 

セラミックブラケットのメリット/デメリット

■利点

・歯に近い色調を持ち合わせ、審美ワイヤーとモジュールゴムを使用することで、さらに審美性が高まる

・上記審美性は大きなメリットで、患者様の目立たない矯正治療のご希望に近づく、表側矯正の優れた装置である

 

■欠点

・材質的に歯より固いので歯を摩耗させ、歯を痛める可能性がある

・セラミックはプラスチックに比べ粘りが無いので脆く、ブラケットのウイングが欠けるケースがある

・欠けた部位にもよるが、欠けた要因でワイヤー保持が不十分となった場合、装置の付け直しが必要

・取り除く際もプラスティックに比べ硬く、取り除くい。歯に不快な振動を与えやすい

・セラミックブラケットは、プラスティックブラケットに比べ高価

このようにプラスティックブラケットとセラミックブラケットを総合的に比較する必要があります。そして、当院ではプラスティック材質にメタルでできたスロットが組み込まれたクリアブラケットを標準的に使用しています。

 

 

”機能性と審美性”をもったクリアブラケット

クリアブラケットはスロットがメタル色のものとゴールド色のものがあります。

ワイヤーに関しても通常のタイプとゴールド色のタイプがあり、他にも歯の動きに影響を与えない外側のみをホワイトコーティングしたワイヤーを取り揃え使用します。

クリアブラケットには「クリアスナップ」という結紮線があります。
またモジュールゴムに替わるワイヤーを保持する目立ちにくいアクセサリーも用意されています。

審美性において、舌側矯正・マウスピース矯正には劣ります。
しかし審美性が考慮されており、機能的に優れ、確実性もあり、これまで蓄積されてきた信頼度も高いオールマイティーな表側矯正と言えます。

現在でも、成人矯正治療の第一選択(ファーストチョイス)であることに間違いないと考えます。

 

いかがでしたでしょうか?
本日詳しくご紹介したブラケットについて、「もっと詳しく知りたい!」「一度 色々と相談したい」といった方はメール・お電話・ご来院いただき、ご相談をいただければと思います。

矯正歯科治療に関するご相談はお気軽にどうぞ。

 

——記事の執筆者紹介——
矯正歯科治療でお悩みの患者様の疑問・不安へお応えします!
知多 矯正歯科治療相談室 運営 久野歯科医院 院長 久野昌士

【院長の主な略歴について】
・昭和57年:東京歯科大学を卒業。
・昭和57年から昭和61年:東京歯科大学補綴第二講座に在籍する。
・昭和62年から平成1年:愛知学院歯学部口腔外科第二講座研究生。
・名古屋YDCAスタディグループに所属
「コンプリートデンチャー研究会」へ在籍しつつ
名古屋顎矯正研究会等へと参加。
より良い矯正歯科治療を患者様へとご提供できるよう、
 新たな治療技術・歯科知識を積極的に取り入れる。
————————————————

矯正治療中の痛みの種類と対応策

矯正歯科治療をご検討されている方や治療中の方に役立つ歯科関連の情報をお伝えしている、知多 矯正歯科相談室 院長の久野昌士です。

本日は多くの患者様が気にされる、矯正歯科治療を行う際の痛みとそれに対する対応策についてを詳しく解説いたします。現在治療を行っている際中の方も、これからの治療を考えている方にもとても参考になる内容です。

当院には愛知県知多市南部からも多くの患者様がお越しになっています。「実際に直接治療について、詳しく一度相談したい」といった方はお気軽にご連絡下さい。様々なお悩みや心配について、分かりやすく見解をお話します。

【記事のアップデート日時:2023年11月20日(月)14時】

 

矯正歯科治療中に生ずる痛みについて

患者様が矯正歯科治療を見送られるご理由・デメリットの一つとして、治療中に感じる痛みが大きな要因として挙がるのではないでしょうか?

矯正治療中の痛みには様々な種類があります。歯を移動させるときに起こる痛みブラケット(ブレース)と唇などの軟組織の接触で起こる口内炎による痛みワイヤー後端が頬の奥などの口腔軟組織を傷つけることによる痛み抜歯による痛みなどがあります。

 

ブラケットによる口内炎等の痛み

八重歯(犬歯低位唇側転位)等で歯列弓から外側へ外れた歯へ装置を付けることで、唇などの口腔軟組織を傷つけ、口内炎が発生しやすくなります。

 

こちらへの具体的な対策としては、歯科医院でお渡しする専用のワックスを口内炎の原因となる、突出しているブラケット(ブレース)へ付ける方法があります。この処置により刺激を少なくすることができます。

 

そして、ワイヤーが入りレベリングが進んでくると生体反応もあり、次第に口内炎の痛みは少なくなってきます。ワイヤー後端による軟組織の傷の痛み レべリングが進んできて、叢生等の改善がみられてくると歯列弓が整ってきます 。

 

他、犬歯・前歯の後方移動(リトラクション)が進んできた際、ワイヤー後端が後方のチューブから突出し、奥歯の頬の粘膜を傷つけることが要因で痛みが発生します。

こちらへの効果的な対策は、適正な長さにワイヤーを切断し後端をしっかりと曲げます(シンチバックと呼ぶ) さらにワイヤー後端部をソフトレジンで覆うといった方法もあります。
この2つの対策によって、治療時に感じる痛みを軽減・解消することが可能です。

 

歯を移動させる時に生じる痛み

矯正歯科治療で最も患者様を悩ます痛みがこちらです。

ブラケットを付けワイヤーを装着して暫くすると、その日の内に上下の歯を接触させた際「歯が浮いた」ような持続的痛みが出てきます。

こちらの痛みの程度は個人差がありますが、どうしても避けられない痛みです。この痛みはブラケットとワイヤーをしっかりと結紮したり、ワイヤー交換を行う度、程度の大小はありますが起こります 。

 

痛みのピークは、一般的に数日ほどで1週間前後で徐々におさまります。

また、この歯を移動させる際に起こる痛みは違和感を含め、小児のT4Kトレーナー・マイオブレイスなどの既成の顎機能矯正装置や、インビザライン・アソアライナーに代表されるアライナー矯正(マウスピース矯正)でも発現をします。ですが症状は比較的軽いです。

 

こちらの痛みへの対策もあります。上下の歯を接触させた時の痛みには効果は少な目ですが、一時的な自発痛が強ければ痛み止めの使用も可能で、一定の効果を期待できます 。

一般的な痛みに対して、歯科医院でよく使用される鎮痛剤にはロキソニンボルタレンのような非ステロイド性の抗炎症薬(NSAID)があります。

 

歯の移動は、牽引側と圧迫側にて 破骨細胞と骨芽細胞の働きにより、骨の吸収と添加を繰り返しながら起こります 。

矯正力の加わっている歯には炎症反応が起こっており歯の移動が行われるため、非ステロイド性の抗炎症薬(NSAID)を使用することで炎症を抑えることになり、歯の移動が起こりにくくなります。

そのため、使用する鎮痛剤は抗炎症効果のないアセトアミノフェン(カロナール)を使用すると良いでしょう。

アセトアミノフェンは非ステロイド性の抗炎症薬(NSAID)のように、副作用としての胃腸障害が少なく、妊婦や小児にも使用できる安全な解熱鎮痛剤です。ロキソニンなどの抗炎症薬に比べ、アセトアミノフェンの鎮痛効果はマイルドですが1回に1錠500mgものを2錠飲むことができます。6時間おきならば、4回(4000mg)まで飲むことが可能です 。

 

その他にも別の方法として、氷を口に含んだり、冷やすことで痛みを和らげることもできますが、同様の理由で歯の動きが弱まる可能性があるため注意が必要です 。

 

抜歯による術後の痛み

矯正歯科治療で適正な位置へ歯を移動させるスペース確保のため、抜歯・親知らずの抜歯時に非ステロイド性の抗炎症薬(NSAID)にて対応します。術後の感染が起きないように抗生剤の投与が必要です 。

 

矯正歯科治療時に起こる痛みについて、あらかじめ発現する痛みの原因その対応策を理解した上で上手に痛みと付き合う姿勢が痛みの軽減に役に立つと考えます。

また、治療時の痛みに関して無理をして我慢するのではなく、適宜信頼できる歯科医師に連絡と相談をし、無理なく適切に治療に取り組むことも重要と言えます。

 

——記事の執筆者紹介——
矯正歯科治療でお悩みの患者様の疑問・不安へお応えします!
知多 矯正歯科治療相談室 運営 久野歯科医院 院長 久野昌士

【院長の主な略歴について】
・昭和57年:東京歯科大学を卒業。
・昭和57年から昭和61年:東京歯科大学補綴第二講座に在籍する。
・昭和62年から平成1年:愛知学院歯学部口腔外科第二講座研究生。
・名古屋YDCAスタディグループに所属
「コンプリートデンチャー研究会」へ在籍しつつ
名古屋顎矯正研究会等へと参加。
より良い矯正歯科治療を患者様へとご提供できるよう、
 新たな治療技術・歯科知識を積極的に取り入れる。
————————————————

矯正治療時に行う、歯の移動を解説

皆様へ役立つ矯正歯科の情報を分かりやすくお伝えしている、知多 矯正歯科相談室 院長の久野昌士です。

皆さんは歯の矯正を行う際、どのような点に気を付けて、どういった流れで歯の移動が行われるか?について、詳しく知る機会があまりないかもしれません。ただ、現在矯正治療をされている方やこれからしようと検討している方は、実際に矯正時の歯の移動とはどういったものか?を認知された方が良いと考え、本日は詳しく解説をします。

【記事の更新日時】2023年11月23日12時半

 

矯正治療時の歯の移動について

歯を移動させる力とは?

歯に対し何らかの矯正力を加えると、その力は歯の根の部分から歯周組織の歯根膜を経て、歯の植わっている骨(歯槽骨)へと伝わっていきます。

矯正歯科治療に適した力が歯周組織に伝わると、歯の根の部分(圧迫側)で骨吸収が起こり、圧迫側とその反対側の牽引側で骨の修復がされ、適正な歯の移動が行えます。

 

※「矯正治療時の矯正力が適当である」と思われる歯の状態とは以下とされています。

・矯正力の働いている歯に自覚的な痛みが無い

・歯をたたいても、著しい反応がない

・歯の動揺 及び緩みが著しくない

・歯や顎の位置が処置方針どおりに移動している

・歯根膜や歯の周囲組織に病的変化が認められない

 

 

歯の移動の仕方について

歯の移動の仕方には、普段あまり聞かないフレーズかと思いますが、「歯体移動」と「傾斜移動」というものがあります。

 

歯体移動:歯体移動とは、歯の長軸をできるだけ傾けないように平行に移動させるようにします。

傾斜移動:傾斜移動は、歯の長軸を変えるような移動の仕方をいいます。

 

現在のワイヤーとブレースを使用した一般的且つ主な矯正歯科治療では、歯体移動を主にして傾斜移動も使用し歯を移動させていきます。

アソアライナーに代表されるマウスピース矯正では、傾斜移動が中心になりますので抜歯が必要な矯正歯科治療にはあまり適していないと言えます。

インビザライン等では、歯の表面へアタッチメントと言う突起を付け、歯の動きをコントロールします。抜歯症例にも対応していますが、予想外の歯冠の傾斜などに対するフォローが必要になってくるケースもあります。

 

 

固定(抵抗源)Anchorageとは?

物体がある力で引っ張られた場合、その反作用として必ず同じ力が引っ張る側にも加わります。

矯正歯科治療で歯や顎を移動させる場合も同じです。移動する目的の歯に抵抗する場所がなければなりません。

これを「固定源(抵抗源)」と言い、単に「アンカー」と言うこともあります

 

固定はその固定源となる部位によって、顎内固定・顎間固定・顎外固定に分けられます。

顎内固定:「抵抗源となる歯」と「移動される歯」が同じ顎の中にある場合を指します。

顎間固定:歯や顎を移動させる場合に、抵抗源を対顎に求めた場合を言います。一般的にはエラスティックゴムを使用します。牽引の方向によって、Ⅱ級ゴム・Ⅲ級ゴム・垂直ゴム等があります。

顎外固定:歯や顎を移動させる場合の抵抗源を口腔外に求めた場合を言います。抵抗源は頭部や頸部に求められます。具体的にはヘッドギア、フェイシャルマスク、チンキャップなどを使用します。

 

とても基礎的なことですが、歯を適正な位置に移動させるには作用と反作用の原理を十分考慮の上、矯正治療に役立てなければなりません。矯正歯科治療を進める歯科医師は、この点を意識して行っています。

 

 

——記事の執筆者紹介——
矯正歯科治療でお悩みの患者様の疑問・不安へお応えします!
知多 矯正歯科治療相談室 運営 久野歯科医院 院長 久野昌士

【院長の主な略歴について】
・昭和57年:東京歯科大学を卒業。
・昭和57年から昭和61年:東京歯科大学補綴第二講座に在籍する。
・昭和62年から平成1年:愛知学院歯学部口腔外科第二講座研究生。
・名古屋YDCAスタディグループに所属
「コンプリートデンチャー研究会」へ在籍しつつ
名古屋顎矯正研究会等へと参加。
より良い矯正歯科治療を患者様へとご提供できるよう、
 新たな治療技術・歯科知識を積極的に取り入れる。
————————————————

矯正歯科治療後の保定器具/リテーナーやマウスガード等のお手入れ

矯正歯科や歯科治療関連の情報を分かりやすく解説している、知多 矯正歯科相談室の歯科医師 久野です。本日は患者様からよくご質問いただくアライナーやマウスガードに関する正しいお手入れについてを述べたいと思います。

【記事の更新日】2023年10月23日(木)13時

 

歯ぎしり・矯正治療時のアライナー・リテーナー・スポーツマウスガードのケア

各種取り外し可能なお口の中の装置

リテーナーは矯正歯科の動的治療が終了し、保定治療を継続する上でとても大切な装置となります。

主に小児に使用される床型矯正装置や、トレーナー・マイオブレイスのような既成の顎機能矯正装置は就寝時に必ず装着しなければなりません。

歯ぎしりの防止装置では、お休みの間のブラキシズムにより起こる力を抑制するために就寝中の装着が必要です。

 

目立たない矯正装置であるクリアアライナーは、一定期間で交換するのでアライナー自体のケアは他装置と比べ必要性が少ないかもしれませんが、リテーナーと同様に食事の時以外の連続的な装着を歯科医師より要求されます。

 

取り外し可能な装置のお手入れ方法は?

アライナーは装着時の見た目的に目立ちませんが長時間の装着となるため、お仕事など他の人との対応時・会話時に気になるかもしれません。

スポーツマウスガードにしても、試合中だけでなく練習中でも体が強く接触する場合には装着が必要です。また、試合中よりも練習時の方が長時間の使用が一般的となっています。

 

こういった長時間使用しなければならない矯正治療後のリテーナーの他、マウスピース型装置について、装着時の臭いが気になったり、着色が起こっていたり、ヌルヌル感が出ていませんか?

リテーナーを長く快適に使用するためには、リテーナーに関する十分なお手入れが必要となります。水洗いだけではぬめりが残ったり、臭いの原因菌が増えたりする可能性が高くなるので注意しなければなりません。

 

 

マウスピース型 矯正装置の専用洗浄剤が発売されています

最近はマウスピース型 矯正装置に関して、患者様の興味・需要が高まり、洗浄剤も多くの種類が発売されるようになってきました。

顆粒を水に溶かして使用するタイプや、タブレット状の物を水に溶かして使用するタイプ、スプレータイプの物などが発売をされています。

ご自宅でケアを行う場合は水に溶かして使用するタイプを使用し、仕事中はスプレータイプといった具合にご自分の状況に合った洗浄剤を使用するのが良いでしょう。

またアライナー・リテーナーと歯の表面の間に食べカスや歯垢が残っていると、むし歯になる可能性が大きく高くなるので注意しましょう。

アライナーやリテーナーのケアと共に、普段されているお口のセルフケアをしっかりと行なうように心掛けることが重要です。
当院では矯正治療中の指導は勿論、保定期間中のリテーナーに関するお手入れ方法、装置使用に関する様々なアドバイスを行っております。お困り事がありましたら、お気軽にご相談下さい。

知識・経験豊富な歯科医師が適切と考えるアドバイスをいたします。

 

——記事の執筆者紹介——
矯正歯科治療でお悩みの患者様の疑問・不安へお応えします!
知多 矯正歯科治療相談室 運営 久野歯科医院 院長 久野昌士

【院長の主な略歴について】
・昭和57年:東京歯科大学を卒業。
・昭和57年から昭和61年:東京歯科大学補綴第二講座に在籍する。
・昭和62年から平成1年:愛知学院歯学部口腔外科第二講座研究生。
・名古屋YDCAスタディグループに所属
「コンプリートデンチャー研究会」へ在籍しつつ
名古屋顎矯正研究会等へと参加。
より良い矯正歯科治療を患者様へとご提供できるよう、
 新たな治療技術・歯科知識を積極的に取り入れる。
————————————————

知多 矯正歯科 ホームページTOPページはこちらから

【症例】知多市新舞子のy.k様/アソアライナーの部分矯正で反対咬合を治療

愛知県知多市の矯正歯科治療専門 久野歯科医院の院長 久野昌士です。
今回も皆様に役に立つ歯科治療及び矯正関連の新情報等を分かりやすくお知らせします。

【記事の更新】2023年10月11日(水)20時

 

 

知多市新舞子に在住 Y.K様(女性):部分矯正を希望 反対咬合症例 マウスピース矯正を適用

今回もwebサイトへの掲載に関する了解をいただきました、主に知多地域在住の患者様の矯正歯科治療例についてご報告いたします。どのように実際の矯正治療が進んでいくか?を治療中の写真も複数枚 提示して解説していきます。

 

今回ご紹介する患者様は知多の新舞子在住で、近隣エリアにお住いの女性です。

y.k様は下顎臼歯部の詰め物が外れたことを主訴として、この度当院にご来院されました。

問診表から歯並びについても、相談のご要望がありましたので、主訴の処置が終了した後に詳しくお話を伺うことになりました。
子供の頃、反対咬合の矯正治療を開始したものの、その治療に限界があるとの経緯で、治療を終了されたとのこと。

 

今回、「なるべく目立たない方法で、費用負担が少なくできるのなら矯正歯科治療を受けたい」とのご希望がありました。むし歯は無く、歯周組織も歯肉に強い炎症等みられず、比較的安定をしています。

 

今後の矯正歯科治療に関する処置方針について

「目立たない治療法で費用負担を少なくされたい」といった希望を考慮し、アソアライナーによるマウスピース矯正で上顎 前歯群を前方へ移動させるよう、まず計画を立てました。

 

前歯群を前方へ出すだけでなく、上下の歯を接触させるようにエラスティックゴムも使用することにしています。
上顎左側中切歯には歯列弓より突出があります。

上顎右側中切歯は歯髄処置と根管治療がされており、変色があります。
部分矯正の動的治療が終了した際にホワイトニング・ウオーキングブリーチ・ラミネートべニア等の方法で、歯列全体の色彩にマッチするよう修復予定を検討しました。

部分矯正は、主訴の部位のみ治療をすることから歯冠修復を組み合わせて治療することが多くあります。
今回の場合も臼歯部にできたスペースを閉鎖するために、インダイレクトボンディングとダイレクトボンディングを応用しスペースの封鎖を行います。

 

矯正治療の経過(その1)

アソアライナーには3つの厚さが違うタイプがあります。ソフト(0.5mm)、ミディアム(0.625mm)、ハード(0.75mm)となっており、ソフト・ミディアムではそれぞれ1週間から10日間、ハードタイプでは2週間から20日間を1ステップとしており、歯の動きを確認しながら治療ステップを進めます。

現在は模型や口腔内スキャナーから得られたデジタルデータを基にし、3Dプリンターによって作られた治療模型からアライナーが製作されます。一つのデジタルデータからまとめて3ステップまでの治療を進めることが可能です。

今回も通常通りの流れで矯正治療を進めていきます。

 

矯正治療の経過(その2)

前歯犬歯から犬歯までを含めた前歯群を前方へと移動させます。

両側とも犬歯を含めた前歯群を前方したため、犬歯と小臼歯の間にスペースができています。

 

 

 

矯正治療の経過(その3)

上顎の前歯群と下顎前歯を接触させるため、上顎前歯歯頚部へクリアなボタンを接着。
アソアライナーの舌側前歯部に付けたボタンとでエラスティックゴムを使用します。

 

 

矯正治療の経過(その4)

上顎両側の犬歯と第1小臼歯の間にできたスペースをインダイレクトボンディングとダイレクトボンディングを併用して審美修復を行います。

 

 

歯列全体へホワイトニングを行った後、上顎右側中切歯をレジンラミネートべニアで修復しました。

上顎前歯のみの部分矯正で治療対応しましたので、正中の改善は行われていません。

アソアライナー(各人用に製作されたマウスピース矯正)による部分矯正」から、「ダイレクトボンディングとラミネートべニア、インダイレクトボンディングによる審美修復」といった一連の歯科治療を途切れることなく行いました。

 

一人の歯科医師が包括的に、矯正歯科治療と審美修復の治療を行えるのも当院の強みの一つです。上顎前歯群の前方への移動と前歯の咬み合わせについて、予定よりも多くの時間がかかりましたが、概ね処置方針に従って治療を完了することができました。

 

矯正治療時の注意点をご紹介しますと歯根吸収、歯根破折、歯髄壊死、歯髄変性などの副作用が発生する可能性があります。これらのリスクに注意することも重要なPOINTです。

 

 

≪矯正治療内容の詳細≫
アソアライナーによる動的治療期間:約15か月
治療費用:34万円

——記事の執筆者紹介——
矯正歯科治療でお悩みの患者様の疑問・不安へお応えします!
知多 矯正歯科治療相談室 運営
久野歯科医院  院長 久野昌士

【院長の主な略歴について】
・昭和57年:東京歯科大学を卒業。
・昭和57年から昭和61年:東京歯科大学補綴第二講座に在籍する。
・昭和62年から平成1年:愛知学院歯学部口腔外科第二講座研究生。
・名古屋YDCAスタディグループに所属
「コンプリートデンチャー研究会」へ在籍しつつ
名古屋顎矯正研究会等へと参加。
より良い矯正歯科治療を患者様へとご提供できるよう、
新たな治療技術・歯科知識を積極的に取り入れる。
————————————————

知多 矯正歯科 ホームページTOPページはこちらから

T4Kトレーナー・マイオブレイスの注意点

患者様のお身体に負担の少ない矯正治療に努めています、知多地域の久野歯科医院院長です。

皆様に役立つ歯科・矯正関連の情報を分かりやすくお伝えしています。本日は年々需要が高まっているT4Kトレーナー・マイオブレイスにて、小児矯正をされる際のPOINT/注意点についてを詳しく解説したいと思います。

【記事の更新日時】2023年10月31日12時30分

 

T4Kトレーナー・マイオブレイスで小児矯正をされる子供の保護者様へ

お子様の歯列矯正時は、保護者様のご協力が大切

子供の歯列矯正時に、是非ともお願いしたいことがあります。
矯正歯科治療を成功に導くには、お母様・お父様、保護者の方(ご家庭で一番長くお子様と接している方)のご協力が必要です。

子供と一緒になって、これからの矯正治療へ参加されご興味を持っていただくことが大切と考えます。

 

ご家庭でのお口の機能訓練やお口の体操は、一般的に退屈で早期の効果が分かりにくい点がありますが、それをシッカリと習慣化させ、定着させて継続することが必須です。

まずは治療を受けられるお子様と共にそのお母様・保護者の方も、矯正治療を担当する歯科医師を信じて、その指示へ従っていただければ幸いです。

 

矯正装置を未装着では、その効果は得られません

小児矯正治療の際に使用する取り外し可能な装置は、お口の中を清掃する時に都合が良く、お口の中を清潔に保つことができるのが大きな利点です。
しかし、ご自身の意思での装着となるため、その点に注意しなければなりません。

矯正装置を外していれば、もちろんその効果を得ることはできません。

 

取り外しのできる矯正装置(拡大床など)は、10時間以上 連続的に装着をしないと効果が表れにくいと言われています。

また、正しい使用方法を理解の上、矯正装置を装着しないと治療効果が十分に発揮できません。

 

T4Kトレーナーやマイオブレイスは魔法の道具ではなく、矯正装置です。
そのため、定められた装着時間を守ることを意識しましょう。

 

ご家庭での機能訓練がとても大切

口呼吸に関する体への悪影響についての説明や、あいうべ体操の指導、鼻呼吸、嚥下訓練など機能訓練の説明及び指導等は当院で行いますが、大半の機能訓練の時間はご家庭にあります。

家庭での顎機能矯正装置の使用と機能訓練が非常に重要です。

 

そして矯正治療効果の評価は、診察・レントゲン撮影・定期的な模型の採得と口腔内/顔貌の写真撮影を行い、定期的に判断をしています。

せっかく勇気を出して、矯正歯科治療をはじめても矯正装置が正して使われていなかったり、装着時間が短いようでは思うような矯正効果を得ることはできません。

こちらを踏まえ、もしお子様が矯正装置の装着を嫌がり、あまり装着をしていないようであれば、保護者の方が必要性を度々お話いただき、できるだけご本人のストレスのないよう装着する手助けをしていただければ幸いです。

 

——記事の執筆者紹介——
矯正歯科治療でお悩みの患者様の疑問・不安へお応えします!
知多 矯正歯科治療相談室 運営 久野歯科医院 院長 久野昌士

【院長の主な略歴について】
・昭和57年:東京歯科大学を卒業。
・昭和57年から昭和61年:東京歯科大学補綴第二講座に在籍する。
・昭和62年から平成1年:愛知学院歯学部口腔外科第二講座研究生。
・名古屋YDCAスタディグループに所属
「コンプリートデンチャー研究会」へ在籍しつつ
名古屋顎矯正研究会等へと参加。
より良い矯正歯科治療を患者様へとご提供できるよう、
新たな治療技術・歯科知識を積極的に取り入れる。
————————————————

知多 矯正歯科 ホームページTOPページはこちらから

【小児矯正症例】T4Kトレーナーによる矯正歯科治療(知多市南粕谷在住w.m様)

「目立たず無理せず背伸びせず」、開院して115年の歴史ある歯医者 久野歯科医院です。
当歯科医院では愛知県知多市近郊エリアを中心に、これまでに数多くの矯正歯科治療に関する相談に応じ、実際の治療も行ってまいりました。

そういった経験を元に、皆様に役に立つ矯正治療関連の情報を分かりやすくお伝えします。
これから矯正治療をご検討中の方は是非参考にご覧ください。

記事の更新日:2023年9月14日(木)13時半

 

知多市南粕谷在住の女性:既成の顎機能装置、T4Kトレーナーを用いた矯正症例

治療を受けられる患者様の概要について

w.m様は最初、むし歯の予防を希望され、お母様とご一緒に当院へと来院されました。
年齢は8歳の女子で、口腔内の清掃状態は比較的良好でした。

乳歯から永久歯への交換途中の後期混合歯列期で、既に犬歯と第1小臼歯の萌出が認められました。
上顎の中・側切歯は歯冠が内側に傾いており、この時点での第1大臼歯の臼歯関係はアングル分類でClass2の状態でした。

永久歯への交換について、このまま放置をしていると2級・2類(Class2・div.2)という不正咬合になる旨を説明し、ご本人とお母様の同意を得て今後の矯正歯科治療を開始しました、

 

矯正歯科治療の処置方針

咬み合わせが深く、臼歯関係・犬歯関係ともClass2で、上下の第2乳臼歯が健在なことから適応症としては時期が遅いと思われました。既成の顎機能装置であるT4Kトレーナーを装着してもらい、あわせて機能訓練を行います。

咬み合わせが改善してくれば、積極的に舌の位置を確保し、前方への歯列弓の拡大の補助としてBWS(ベントワイヤーシステム)の採用を考えます。

永久歯への全ての交換が終了するまで、矯正治療を継続します。

 

矯正治療の治療経過:その1

T4Kトレーナーは装着される患者様が起きている時の1時間と就寝時の装着でよく、覚醒時の装着はしなくてよいため、学校へ通っている間の装着はなく患者様にとっては取り組みやすい面があります。
しかし、起きている時の1時間と就寝時の装着が定着しない場合もみられるため、注意が必要です。

装着しなければ、不正咬合の改善が見られませんので、ご本人の装着に対する強い意志とご家族の真剣な態度・協力が大いに重要となります。
知多市在住のw.m様は、最初 なかなか装着が難しいご様子でした。

 

来院を重ねても咬み合わせが改善されませんでしたが、次第に前歯部の改善が認められ、根気強く装着をすすめ、機能訓練を続けるようにお話しをしました。

 

矯正治療の治療経過:その2

その後 少しづつではありますが、咬み合わせが改善されてきて、下の前歯が前方より見えてきました。

既に犬歯が萌出し、第1乳臼歯から第1小臼歯への交換も進み、BWSを採用するには一般的にやや遅いとは思いますが、チューブを接着の上 装着をしました。

 

数週間 間隔でループ部分をアクチベートして、拡大を図ります。
第2乳臼歯が第2小臼歯へ生え変わるまで、舌側ワイヤーの装着を続けました。

 

 

矯正治療の治療経過:その3

永久歯への交換が全て終了し、第2大臼歯も萌出しました。
歯列弓も美しいアーチとなり、犬歯関係・臼歯関係 共に良好です。

 

今後はむし歯の予防と共に、歯列の健全な維持のために定期健診の段階へと入ります。
もう暫くT4Kトレーナーを使用するようにご説明しました。

 

【矯正歯科治療の期間と費用】
今回の矯正治療期間:永久歯への交換まで
治療費用:22万円

 

本当に”その患者様に必要な矯正治療”を

知多の久野歯科医院では、患者様の矯正治療に関するご希望をしっかりとヒアリングの上、それを理解し、その患者様にあった治療方針を立てます。

 

時には患者様の口腔内の状態や歯並びによって、先に別の治療を行ってから、実際の矯正治療へと入る場合もあります。

何故なら、短期的に歯並びをただ良くするのではなく、中長期的にその患者様が快適な食生活を送ることができると共に、後戻りの少ない満足のいく歯並びを叶えることが重要と考えているからです。

審美性だけでなく、機能面も考慮した矯正歯科治療を心がけています。

 

——記事の執筆者紹介——
矯正歯科治療でお悩みの患者様の疑問・不安へお応えします!
知多 矯正歯科治療相談室 運営 久野歯科医院院長 久野昌士

【院長の主な略歴について】
・昭和57年:東京歯科大学を卒業。
・昭和57年から昭和61年:東京歯科大学補綴第二講座に在籍する。
・昭和62年から平成1年:愛知学院歯学部口腔外科第二講座研究生。
・名古屋YDCAスタディグループに所属
「コンプリートデンチャー研究会」へ在籍しつつ
名古屋顎矯正研究会等へと参加。
より良い矯正歯科治療を患者様へとご提供できるよう、
 新たな治療技術・歯科知識を積極的に取り入れる。
————————————————

知多 矯正歯科 ホームページTOPページはこちら

症状から見た不正咬合の分類

知多市南部からも多くの患者様がご来院をされています、久野歯科医院 院長です。
皆様に役に立つ矯正歯科関連の情報を専門の歯科医が分かりやすくお知らせします。

【記事のリライト日】2023年9月7日(木)12:30

 

様々な不正咬合の形態について

そもそも、不正咬合とはどういった状態か?

顎や顔面、歯などが何らかの原因によって、形態・機能・発育に異常が発生すること。その結果、正常な咬み合わせを営んでいない状態とされています。ここでは不正咬合の特徴的な症状を中心とした、症例についてをそれぞれ解説します。

 

歯の個々の位置異常について

歯列弓や顔の正中、全体の咬み合わせのライン(咬合線)などを目安に、歯の位置の異常を表現します。

■多様な転位について

・近心転位:歯列弓内で正常位から正中へ、より近づいているもの

・遠心転位:歯列弓内で正常位に対し、正中から遠ざかっているもの

・唇側転位:犬歯を含む前歯群で、歯列弓内の正常位置よりも外側にあるもの

・頬側転位:臼歯群で、歯列弓内の正常位置より外側にあるもの

・舌側転位:歯列弓内で正常位から舌側(内側)にあるもの

・低位:咬み合わせのライン(咬合線)に達しないもの

・高位:咬み合わせのライン(咬合線)を超えるもので、一般的には「挺出」を使用します

■捻転

歯が長軸に対して、回転しているもの

■移転歯

歯列弓内で隣り合った歯が位置の順序を交換しているもの

■傾斜

歯の長軸より強く傾斜しているか、又は異常な方向へと傾斜しているもの

 

混合し現れる、個々の歯の位置異常

個々の歯の異常は、単独で現れることもありますが、混合して現れるケースも実は多くあります。
そして八重歯の場合、犬歯の低位唇側転位と呼ばれています。

また、前歯群の唇・舌側転位については叢生(そうせい)と呼ばれています。

上顎中切歯の間に隙間を生じるものには、中切歯の遠心転位で正中離開と呼ぶことが多いです。

上顎両側中切歯の近心に捻転するものは、翼状捻転(ウインギング)と一般的に呼ばれています。

 

歯列弓の形態的異常について

■狭窄歯列弓

臼歯部の舌側転位により起こった、歯列弓の臼歯と臼歯の間の幅が狭いものを言います。
アングル分類の2級2類によく見られ、口蓋部が深いことが多いです。

■V字形歯列弓

狭窄歯列弓に属しますが、前歯の唇側転位と犬歯と犬歯の間の幅が狭く、V字形の形に見えます。

■鞍状歯列弓

下顎歯列弓にみられ、第1大臼歯の近心転位などが原因で、小臼歯の舌側転位・傾斜により歯列弓が鞍のような形に見えます。

 

■空隙歯列弓

歯と顎の大きさの不調和で顎に対し、歯の大きさが小さい時に歯と歯の間に隙間ができます。隙間を多く有する歯列弓のことを呼びます。
歯が小さい場合と、顎が大きい場合、その両方の場合などがあります。

 

上下歯列弓の近遠心的(前後)関係の異常について

アングルの不正咬合の分類で、くわしくご説明したいと思います。

 

【アングルの不正咬合の分類】
アングルの不正咬合の分類は、アングル(Angle.E.H.)が1899年に発表をした分類法となります。
アングルの不正咬合の分類の特徴は「不正咬合の形態的に把握をするのに、かみ合わせを上下顎歯列弓の前後的な相互関係だけに絞り、分類している所」です。

上顎歯列弓は前後的に正しい位置にあるとしているので、不正咬合の分類をわずか3種類に分類できます。

不正咬合の種類をアングル分類では、
■1級(ClassⅠ)上下歯列弓が正常な近遠心的関係にあるもの。

■2級(ClassⅡ)下顎歯列弓が上顎歯列弓に対し、正常より遠心に咬合するもの。

1類(Division1)両側性遠心咬合で上顎前歯が前突しているもの。口呼吸であることが普通です。

2類(Division2)両側性遠心咬合で上顎前歯が後退しているもの。正常な鼻呼吸者。

■3級(ClassⅢ)下顎歯列弓が上顎歯列弓に対し、正常よりも近心に咬合するもの。

と分類することができます。

臼歯関係(モラーリレイション)が1級で正常な場合とは?具体的にいうと、上顎第1大臼歯の近心頬側咬頭の三角隆線が下顎第1大臼歯の頬面溝に接触している状態をいいます。
その状態から前後的に偏った不正な状態を2級または3級と判定します。

アングル分類には多くの欠点、不備があるものの、とても簡単に不正咬合の状態を情報化することができます。
そのため、現在でも不正咬合の診断の情報伝達矯正歯科治療時のコミュニケーションのツールとして多く活用されています。

 

当ブログでもアングルの分類は、皆様に矯正治療前や治療後のかみ合わせ状態、不正咬合について等をお伝えするのに使用しています。

 

上下歯列弓の垂直関係の異常について

■過蓋咬合

前歯の咬み合わせには「垂直成分」と「水平成分」とに分けられ、垂直成分の方を垂直被蓋、水平成分の方を水平被蓋と言います。
前歯の咬み合わせは正常な場合、上顎前歯は「下顎前歯の唇面の4分の1から3分の1を覆う」とされています。

 

この正常な垂直被蓋をはるかに超え、深く咬み合わせるものを過蓋咬合と言います。
症状の強い場合は、下顎前歯を全て覆い隠してしまうものもあります。

水平被蓋の大きさが少ない過蓋咬合(アングルClass2 div2)と多い過蓋咬合(アングルClass2 div1)があります。
過蓋咬合の症状が強い場合、上顎前歯の裏側(口蓋側)の歯肉へ強く接触し、歯肉を傷つけることもあります。

 

■開咬

上下の歯を咬み合わせる時に臼歯部(奥歯)がかみ合っているにもかかわらず、前歯部がかみ合っていない状態を開咬(かいこう)といいます。
一般的には前歯部に開咬は現れますが、臼歯部に現れることも稀にあります。

開咬は「悪習癖に起因しているもの」と「顎自体の形態異常のもの」があります。
成人の開咬では、矯正歯科治療のみで治療することが難しい場合が多く、小児の頃の吸指癖や異常嚥下癖などの悪習癖を早めに取り除くことがとても大切です。

 

上下歯列弓の水平関係の異常について

■交叉咬合

一般的に上顎の歯列弓は、下顎の歯列弓を覆っています。
しかし、部分的に数歯の上顎の歯が下顎の歯に対し、反対にかみ合わせる状態もあります。

臼歯部(奥歯)において、片側にこの状態が現れる場合を交叉咬合と呼んでいます。

 

交叉咬合には「局所的で単純な歯の位置異常によるもの」「上顎と下顎の形態的な非対称によるもの」「歯と歯の早期接触のような咬頭干渉のためにおこる機能的な下顎の偏位によるもの」があります。

乳歯列期・混合歯列期の交叉咬合には、機能的な下顎の偏位が多くみられます。頬杖やうつぶせ寝などの態癖が悪影響を及ぼし、年齢が増し永久歯列の完成時に構造的な異常hw移行する可能性もあるため、十分注意が必要です。

 

ご自身またはお子さんの不正咬合がどういった分類、症例にあたるか?について、一般の患者さんが判断をされるのはなかなか難しいかと思います。
そのため、経験・知識豊富な専門の矯正歯科医が患者さんの歯やお口の状態をしっかりと確認し、どういった症例で、どのような矯正治療を行っていくべきか?を適切に判断することが重要と言えます。

 

——記事の執筆者紹介——
矯正歯科治療でお悩みの患者様の疑問・不安へお応えします!
知多 矯正歯科治療相談室 運営 久野歯科医院院長 久野昌士

【院長の主な略歴について】
・昭和57年:東京歯科大学を卒業。
・昭和57年から昭和61年:東京歯科大学補綴第二講座に在籍する。
・昭和62年から平成1年:愛知学院歯学部口腔外科第二講座研究生。
・名古屋YDCAスタディグループに所属
「コンプリートデンチャー研究会」へ在籍しつつ
名古屋顎矯正研究会等へと参加。
より良い矯正歯科治療を患者様へとご提供できるよう、
 新たな治療技術・歯科知識を積極的に取り入れる。
————————————————

知多 矯正歯科 ホームページTOPページはこちらから