【小児矯正 知識系】乳歯から永久歯へ交換時の注意点

矯正歯科や小児矯正関連の情報を定期的に解説している、知多 矯正歯科相談室の歯科医師 久野です。

本日はお子様をもたれているお母さま・お父さまなど保護者の方へ是非知っていただきたい「乳歯から永久歯への交換時のトラブルが及ぼす影響」についてを詳しくお伝えします。

【記事の更新日】2023年11月2日(木)19時半

 

乳歯から永久歯への交換時のトラブルは不正咬合へと繋がる

乳歯の早期喪失について

乳歯について、まず下顎乳前歯が生後6ヶ月頃より生え始めて、3歳で乳歯列が完成します。そして6歳で永久歯の第1大臼歯と上下前歯が生えてきます。
12歳までの混合歯列期が終了するまで、お口の健康からお体の健康を維持するためにとても重要な役割りを持っています。

 

その大切な乳歯が何らかの原因(多くは虫歯)で早期に喪失してしまうと、咀嚼機能が大きく低下し全身的 影響を受け、正常な成長発育を阻害することになりかねません。咀嚼機能に重要な、顎の発育にも大きく影響してくるのです。

局所的にも、そして次に生えてくる後継永久歯にも多大な悪影響を及ぼします。生えてくるガイドを失うことによって、本来の萌出位置を見失うことがあり、後継永久歯を傾斜させ、異所萌出の可能性も出てきます。

 

また抜歯後が治癒過程で、骨によって埋まれば埋伏歯となる可能性もでてきます。歯と歯の隣り合った部位に多発した虫歯は歯列の長さを短縮させます。それによって、臼歯の萌出位置をも狂わせかねません。

他にも第2乳臼歯の早期喪失は、第1大臼歯の前方移動や傾斜の危険が危惧されます。さらに乳歯の早期の喪失は対合している歯の挺出も引き起こし、上下的アンバランスを起こします。

 

乳歯の晩期残存について

乳歯は虫歯を代表とする病変に冒されなければ、後継永久歯の発育に伴い、乳歯の歯根は水平的吸収が起きて自然に脱落します。そして永久歯への交換がなされます。

しかし、虫歯や他原因で乳歯の歯髄が冒されてしまうと、乳歯根の吸収が不規則・不安定になり、後継永久歯が生えてくる時期になっても、残っている場合があります。

また後継永久歯が欠如している場合、乳歯は吸収し脱落することなく残存する場合もあります。

 

後継永久歯の位置が大きく違っていると、乳歯は歯根吸収することなく、永久歯は異所萌出をしたり、顎の骨の中に完全に埋まった状態(完全埋伏)になります。これは不正咬合の要因となります。

歯牙腫(オドントーマ)があると、乳歯の歯根吸収が妨げられ、後継の永久歯萌出の妨げになります。

幼少期に遊具からの転落や顔面を強く打ったりする等 外傷の影響で、乳歯は正常な歯髄の役割りが停止して晩期残存し、後継永久歯が異所萌出を起こすといった不正咬合の原因になります。

このようなトラブルのないよう、親御さんは幼少期のトラブルへ充分気を付けなければなりません。

 

永久歯の早期喪失トラブルについて

小児期や青年期にかけて虫歯や外傷によって永久歯を早期に失うと、咀嚼機能を失うだけでなく、早期に失われた歯の空間が時間経過と共に、様々な歯列の乱れ・不正咬合を誘発することになります。

(羽賀通夫著 臼歯の補綴より転載)

 

歯を喪失した隣の歯は、喪失した空間を閉鎖しようと歯冠が傾斜し転位を起こします。喪失以前に噛み合っていた歯は挺出(歯がのびてくる)します。
隣り合っていた歯と歯との接触している部位はゆるみ、食べカスが挟まり全額にわたって咬み合わせの崩壊が起こり、不正咬合の大きな原因となります。

 

特に第1大臼歯は咬み合わせの高さを保持する大切な役割りを担っています(咬合の鍵)。
第1大臼歯の喪失は第2大臼歯の前方傾斜や、第一・第二小臼歯の後方への回転、転位などを引き起こします。そして過蓋咬合や上顎前突の原因になります。

今回ご紹介をしたようなリスクについて、普段気にすることはないかもしれません。
しかし数々の矯正歯科治療を行い、様々な矯正症例を見てきた専門の歯科医師の意見として、今回少しでも認知いただき、お子様の正常な歯の発育/歯並びの形成へと気を付けていただければ幸いです。

 

——記事の執筆者紹介——
矯正歯科治療でお悩みの患者様の疑問・不安へお応えします!
知多 矯正歯科治療相談室 運営 久野歯科医院 院長 久野昌士

【院長の主な略歴について】
・昭和57年:東京歯科大学を卒業。
・昭和57年から昭和61年:東京歯科大学補綴第二講座に在籍する。
・昭和62年から平成1年:愛知学院歯学部口腔外科第二講座研究生。
・名古屋YDCAスタディグループに所属
「コンプリートデンチャー研究会」へ在籍しつつ
名古屋顎矯正研究会等へと参加。
より良い矯正歯科治療を患者様へとご提供できるよう、
 新たな治療技術・歯科知識を積極的に取り入れる。
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