「小児矯正」 記事一覧

【小児矯正系】混合歯列期の矯正歯科治療について

知多市南部からも通いやすい、矯正歯科治療専門 久野歯科医院の院長 久野昌士です。

皆様に役に立つ矯正治療関連の情報を分かりやすく掲載/解説をしています。今回は小児矯正として、ご相談をいただくことが多い混合歯列期の矯正に関する具体的な治療内容と注意点についてです。

【記事の更新日】2023年12月26日11時半

 

混合歯列期に行う矯正歯科治療

お母様・お父様、保護者様がお連れする子供の矯正患者様として来院されるのは、混合歯列期が圧倒的に多くなっています。

その理由として、5歳から6歳にかけて下顎乳前歯から下顎永久前歯へと交換した際に現れる不正を主訴とすることが挙げられます。
新たな大人の歯へと生え変わった時、お子様も親御様もやはりその状態・歯並びへ焦点が当たります。

 

混合歯列期の治療対象

この歯の生え変わりの時期に大切なことは以下となります。

まず矯正歯科治療の対象となるのは骨格(Skeletal)、機能(Function)、習癖(Habit)将来萌出してくる永久歯のスペースの確保で、各個の歯(Dental)は最後になります。

こちらの考え方はT4Kトレーナー・マイオブレイスによる矯正治療でも、従来の1期治療でも同じであると考えます。

 

では、より具体的に気になる症例/リスクと注意点等をご紹介します。

 

 

大きな水平被蓋を持つもの

上顎前歯が下顎前歯の位置よりも大きく前方へ突出をしていて、口の周りの筋肉に緊張がある状態。前歯の突出のため、外傷も受けやすくなります。
そして心理的な影響も考えられます。

 

反対咬合について

機能的な反対咬合の矯正歯科治療、前歯の1歯の反対咬合など。
永久歯の交換のためのスペースの確保、獲得。

正中離開 等のために萌出の障害となる場合や、乳臼歯の早期脱落のため永久歯の萌出位置の確保など。

 

不良習癖の除去について

吸指癖、咬唇癖、弄舌癖、異常嚥下癖などの悪習癖はこの時期に取り除く必要があります。
開咬などの大きな原因になる異常嚥下癖は、この時期に適切に改善することができないと除去が困難になります。

 

顎関係の異常時について

顎外固定(装置)を利用し、第1大臼歯 後方への移動を試みる場合もあります。

 

交叉咬合

混合歯列期の交叉咬合は、顎顔面の非対称ではなく、機能的に下顎を偏位させている場合が多くあります。

悪習癖による上顎歯列弓の狭窄等での乳歯の早期接触には、咬合調整や歯列弓の拡大を行います。特に交叉咬合は早期の処置が必要となります。

 

今回ご紹介をした症例以外にも、気になる点がありましたら、専門の矯正歯科医に一度診てもらうのがやはりお勧めです。
知多市の久野歯科医院では随時、お子様の混合歯列期の矯正相談を受け付けています。

症例によっては早めの歯科治療が効果的なケースもあるため、迷われた際はお気軽にご相談ください。
お子様の歯やお口の状態を確認の上、適切な処置や暫くの様子見などの判断をいたします。

 

——記事の執筆者紹介——
矯正歯科治療でお悩みの患者様の疑問・不安へお応えします!
知多 矯正歯科治療相談室 運営 久野歯科医院 院長 久野昌士

【院長の主な略歴について】
・昭和57年:東京歯科大学を卒業。
・昭和57年から昭和61年:東京歯科大学補綴第二講座に在籍する。
・昭和62年から平成1年:愛知学院歯学部口腔外科第二講座研究生。
・名古屋YDCAスタディグループに所属
「コンプリートデンチャー研究会」へ在籍しつつ
名古屋顎矯正研究会等へと参加。
より良い矯正歯科治療を患者様へとご提供できるよう、
 新たな治療技術・歯科知識を積極的に取り入れる。
————————————————

【小児矯正 知識系】乳歯から永久歯へ交換時の注意点

矯正歯科や小児矯正関連の情報を定期的に解説している、知多 矯正歯科相談室の歯科医師 久野です。

本日はお子様をもたれているお母さま・お父さまなど保護者の方へ是非知っていただきたい「乳歯から永久歯への交換時のトラブルが及ぼす影響」についてを詳しくお伝えします。

【記事の更新日】2023年11月2日(木)19時半

 

乳歯から永久歯への交換時のトラブルは不正咬合へと繋がる

乳歯の早期喪失について

乳歯について、まず下顎乳前歯が生後6ヶ月頃より生え始めて、3歳で乳歯列が完成します。そして6歳で永久歯の第1大臼歯と上下前歯が生えてきます。
12歳までの混合歯列期が終了するまで、お口の健康からお体の健康を維持するためにとても重要な役割りを持っています。

 

その大切な乳歯が何らかの原因(多くは虫歯)で早期に喪失してしまうと、咀嚼機能が大きく低下し全身的 影響を受け、正常な成長発育を阻害することになりかねません。咀嚼機能に重要な、顎の発育にも大きく影響してくるのです。

局所的にも、そして次に生えてくる後継永久歯にも多大な悪影響を及ぼします。生えてくるガイドを失うことによって、本来の萌出位置を見失うことがあり、後継永久歯を傾斜させ、異所萌出の可能性も出てきます。

 

また抜歯後が治癒過程で、骨によって埋まれば埋伏歯となる可能性もでてきます。歯と歯の隣り合った部位に多発した虫歯は歯列の長さを短縮させます。それによって、臼歯の萌出位置をも狂わせかねません。

他にも第2乳臼歯の早期喪失は、第1大臼歯の前方移動や傾斜の危険が危惧されます。さらに乳歯の早期の喪失は対合している歯の挺出も引き起こし、上下的アンバランスを起こします。

 

乳歯の晩期残存について

乳歯は虫歯を代表とする病変に冒されなければ、後継永久歯の発育に伴い、乳歯の歯根は水平的吸収が起きて自然に脱落します。そして永久歯への交換がなされます。

しかし、虫歯や他原因で乳歯の歯髄が冒されてしまうと、乳歯根の吸収が不規則・不安定になり、後継永久歯が生えてくる時期になっても、残っている場合があります。

また後継永久歯が欠如している場合、乳歯は吸収し脱落することなく残存する場合もあります。

 

後継永久歯の位置が大きく違っていると、乳歯は歯根吸収することなく、永久歯は異所萌出をしたり、顎の骨の中に完全に埋まった状態(完全埋伏)になります。これは不正咬合の要因となります。

歯牙腫(オドントーマ)があると、乳歯の歯根吸収が妨げられ、後継の永久歯萌出の妨げになります。

幼少期に遊具からの転落や顔面を強く打ったりする等 外傷の影響で、乳歯は正常な歯髄の役割りが停止して晩期残存し、後継永久歯が異所萌出を起こすといった不正咬合の原因になります。

このようなトラブルのないよう、親御さんは幼少期のトラブルへ充分気を付けなければなりません。

 

永久歯の早期喪失トラブルについて

小児期や青年期にかけて虫歯や外傷によって永久歯を早期に失うと、咀嚼機能を失うだけでなく、早期に失われた歯の空間が時間経過と共に、様々な歯列の乱れ・不正咬合を誘発することになります。

(羽賀通夫著 臼歯の補綴より転載)

 

歯を喪失した隣の歯は、喪失した空間を閉鎖しようと歯冠が傾斜し転位を起こします。喪失以前に噛み合っていた歯は挺出(歯がのびてくる)します。
隣り合っていた歯と歯との接触している部位はゆるみ、食べカスが挟まり全額にわたって咬み合わせの崩壊が起こり、不正咬合の大きな原因となります。

 

特に第1大臼歯は咬み合わせの高さを保持する大切な役割りを担っています(咬合の鍵)。
第1大臼歯の喪失は第2大臼歯の前方傾斜や、第一・第二小臼歯の後方への回転、転位などを引き起こします。そして過蓋咬合や上顎前突の原因になります。

今回ご紹介をしたようなリスクについて、普段気にすることはないかもしれません。
しかし数々の矯正歯科治療を行い、様々な矯正症例を見てきた専門の歯科医師の意見として、今回少しでも認知いただき、お子様の正常な歯の発育/歯並びの形成へと気を付けていただければ幸いです。

 

——記事の執筆者紹介——
矯正歯科治療でお悩みの患者様の疑問・不安へお応えします!
知多 矯正歯科治療相談室 運営 久野歯科医院 院長 久野昌士

【院長の主な略歴について】
・昭和57年:東京歯科大学を卒業。
・昭和57年から昭和61年:東京歯科大学補綴第二講座に在籍する。
・昭和62年から平成1年:愛知学院歯学部口腔外科第二講座研究生。
・名古屋YDCAスタディグループに所属
「コンプリートデンチャー研究会」へ在籍しつつ
名古屋顎矯正研究会等へと参加。
より良い矯正歯科治療を患者様へとご提供できるよう、
 新たな治療技術・歯科知識を積極的に取り入れる。
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T4Kトレーナー・マイオブレイスの注意点

患者様のお身体に負担の少ない矯正治療に努めています、知多地域の久野歯科医院院長です。

皆様に役立つ歯科・矯正関連の情報を分かりやすくお伝えしています。本日は年々需要が高まっているT4Kトレーナー・マイオブレイスにて、小児矯正をされる際のPOINT/注意点についてを詳しく解説したいと思います。

【記事の更新日時】2023年10月31日12時30分

 

T4Kトレーナー・マイオブレイスで小児矯正をされる子供の保護者様へ

お子様の歯列矯正時は、保護者様のご協力が大切

子供の歯列矯正時に、是非ともお願いしたいことがあります。
矯正歯科治療を成功に導くには、お母様・お父様、保護者の方(ご家庭で一番長くお子様と接している方)のご協力が必要です。

子供と一緒になって、これからの矯正治療へ参加されご興味を持っていただくことが大切と考えます。

 

ご家庭でのお口の機能訓練やお口の体操は、一般的に退屈で早期の効果が分かりにくい点がありますが、それをシッカリと習慣化させ、定着させて継続することが必須です。

まずは治療を受けられるお子様と共にそのお母様・保護者の方も、矯正治療を担当する歯科医師を信じて、その指示へ従っていただければ幸いです。

 

矯正装置を未装着では、その効果は得られません

小児矯正治療の際に使用する取り外し可能な装置は、お口の中を清掃する時に都合が良く、お口の中を清潔に保つことができるのが大きな利点です。
しかし、ご自身の意思での装着となるため、その点に注意しなければなりません。

矯正装置を外していれば、もちろんその効果を得ることはできません。

 

取り外しのできる矯正装置(拡大床など)は、10時間以上 連続的に装着をしないと効果が表れにくいと言われています。

また、正しい使用方法を理解の上、矯正装置を装着しないと治療効果が十分に発揮できません。

 

T4Kトレーナーやマイオブレイスは魔法の道具ではなく、矯正装置です。
そのため、定められた装着時間を守ることを意識しましょう。

 

ご家庭での機能訓練がとても大切

口呼吸に関する体への悪影響についての説明や、あいうべ体操の指導、鼻呼吸、嚥下訓練など機能訓練の説明及び指導等は当院で行いますが、大半の機能訓練の時間はご家庭にあります。

家庭での顎機能矯正装置の使用と機能訓練が非常に重要です。

 

そして矯正治療効果の評価は、診察・レントゲン撮影・定期的な模型の採得と口腔内/顔貌の写真撮影を行い、定期的に判断をしています。

せっかく勇気を出して、矯正歯科治療をはじめても矯正装置が正して使われていなかったり、装着時間が短いようでは思うような矯正効果を得ることはできません。

こちらを踏まえ、もしお子様が矯正装置の装着を嫌がり、あまり装着をしていないようであれば、保護者の方が必要性を度々お話いただき、できるだけご本人のストレスのないよう装着する手助けをしていただければ幸いです。

 

——記事の執筆者紹介——
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【院長の主な略歴について】
・昭和57年:東京歯科大学を卒業。
・昭和57年から昭和61年:東京歯科大学補綴第二講座に在籍する。
・昭和62年から平成1年:愛知学院歯学部口腔外科第二講座研究生。
・名古屋YDCAスタディグループに所属
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【小児矯正症例】T4Kトレーナーによる矯正歯科治療(知多市南粕谷在住w.m様)

「目立たず無理せず背伸びせず」、開院して115年の歴史ある歯医者 久野歯科医院です。
当歯科医院では愛知県知多市近郊エリアを中心に、これまでに数多くの矯正歯科治療に関する相談に応じ、実際の治療も行ってまいりました。

そういった経験を元に、皆様に役に立つ矯正治療関連の情報を分かりやすくお伝えします。
これから矯正治療をご検討中の方は是非参考にご覧ください。

記事の更新日:2023年9月14日(木)13時半

 

知多市南粕谷在住の女性:既成の顎機能装置、T4Kトレーナーを用いた矯正症例

治療を受けられる患者様の概要について

w.m様は最初、むし歯の予防を希望され、お母様とご一緒に当院へと来院されました。
年齢は8歳の女子で、口腔内の清掃状態は比較的良好でした。

乳歯から永久歯への交換途中の後期混合歯列期で、既に犬歯と第1小臼歯の萌出が認められました。
上顎の中・側切歯は歯冠が内側に傾いており、この時点での第1大臼歯の臼歯関係はアングル分類でClass2の状態でした。

永久歯への交換について、このまま放置をしていると2級・2類(Class2・div.2)という不正咬合になる旨を説明し、ご本人とお母様の同意を得て今後の矯正歯科治療を開始しました、

 

矯正歯科治療の処置方針

咬み合わせが深く、臼歯関係・犬歯関係ともClass2で、上下の第2乳臼歯が健在なことから適応症としては時期が遅いと思われました。既成の顎機能装置であるT4Kトレーナーを装着してもらい、あわせて機能訓練を行います。

咬み合わせが改善してくれば、積極的に舌の位置を確保し、前方への歯列弓の拡大の補助としてBWS(ベントワイヤーシステム)の採用を考えます。

永久歯への全ての交換が終了するまで、矯正治療を継続します。

 

矯正治療の治療経過:その1

T4Kトレーナーは装着される患者様が起きている時の1時間と就寝時の装着でよく、覚醒時の装着はしなくてよいため、学校へ通っている間の装着はなく患者様にとっては取り組みやすい面があります。
しかし、起きている時の1時間と就寝時の装着が定着しない場合もみられるため、注意が必要です。

装着しなければ、不正咬合の改善が見られませんので、ご本人の装着に対する強い意志とご家族の真剣な態度・協力が大いに重要となります。
知多市在住のw.m様は、最初 なかなか装着が難しいご様子でした。

 

来院を重ねても咬み合わせが改善されませんでしたが、次第に前歯部の改善が認められ、根気強く装着をすすめ、機能訓練を続けるようにお話しをしました。

 

矯正治療の治療経過:その2

その後 少しづつではありますが、咬み合わせが改善されてきて、下の前歯が前方より見えてきました。

既に犬歯が萌出し、第1乳臼歯から第1小臼歯への交換も進み、BWSを採用するには一般的にやや遅いとは思いますが、チューブを接着の上 装着をしました。

 

数週間 間隔でループ部分をアクチベートして、拡大を図ります。
第2乳臼歯が第2小臼歯へ生え変わるまで、舌側ワイヤーの装着を続けました。

 

 

矯正治療の治療経過:その3

永久歯への交換が全て終了し、第2大臼歯も萌出しました。
歯列弓も美しいアーチとなり、犬歯関係・臼歯関係 共に良好です。

 

今後はむし歯の予防と共に、歯列の健全な維持のために定期健診の段階へと入ります。
もう暫くT4Kトレーナーを使用するようにご説明しました。

 

【矯正歯科治療の期間と費用】
今回の矯正治療期間:永久歯への交換まで
治療費用:22万円

 

本当に”その患者様に必要な矯正治療”を

知多の久野歯科医院では、患者様の矯正治療に関するご希望をしっかりとヒアリングの上、それを理解し、その患者様にあった治療方針を立てます。

 

時には患者様の口腔内の状態や歯並びによって、先に別の治療を行ってから、実際の矯正治療へと入る場合もあります。

何故なら、短期的に歯並びをただ良くするのではなく、中長期的にその患者様が快適な食生活を送ることができると共に、後戻りの少ない満足のいく歯並びを叶えることが重要と考えているからです。

審美性だけでなく、機能面も考慮した矯正歯科治療を心がけています。

 

——記事の執筆者紹介——
矯正歯科治療でお悩みの患者様の疑問・不安へお応えします!
知多 矯正歯科治療相談室 運営 久野歯科医院院長 久野昌士

【院長の主な略歴について】
・昭和57年:東京歯科大学を卒業。
・昭和57年から昭和61年:東京歯科大学補綴第二講座に在籍する。
・昭和62年から平成1年:愛知学院歯学部口腔外科第二講座研究生。
・名古屋YDCAスタディグループに所属
「コンプリートデンチャー研究会」へ在籍しつつ
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